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韓国で進むファクトチェック

Japan In-depth / 2020年1月13日 13時27分

次にチョン氏は韓国では表現の自由や言論の自由を阻害するおそれがあるため、政府ではなく民間によるファクトチェックに関心が集まっている、と述べると同時に、国民のニュースに対する信頼度が低いことを問題視した。国別の信頼度ランキングでは、韓国は3年連続で最下位である。理由として、1987年に韓国が民主化した後、保守派と革新派の政党が交互に政権をとっていたため、新聞同士での激しいメディア戦争が起きた。それによって、メディアは二極化の緩和に貢献できず、議論の場としての役割を果たせなかったからだと述べた。


さらには、2017年の大統領選挙において両陣営が互いに偽情報を流布したため、中立的な存在が求められ、このような状況下で、SNUファクトチェックセンターが発足した。


チョン氏は、「SNUファクトチェックセンターの最大の関心はジャーナリストの間で合意可能な言説の規範は何か」ということだと述べ、ファクトチェックプラットフォームを提供することでクロス検証を可能にし、読者に独立した結論に達する機会を与えることができると述べた。SNUファクトチェックセンターの目的としてチョン氏は「事実に基づく議論を通じて健全な民主主義に寄与する」と語った。



▲写真 チョン・ウンリョン氏 ⒸJapan In-depth編集部


また、チョン氏はSNUファクトチェックセンターの経営について説明した。チョン氏によると、SNUファクトチェックセンターは韓国のIT企業ネイバーのトラフィックから得る広告収入の30%(約10億ウォン)の支援を受けている。アームズ・レングス法則を大事にしているため、ネイバーは出資以外の関与はしない。


データ利用に関しては、アルゴリズムが読み取れる情報に変換するためメタデータを蓄積している。チョン氏によると、SNUファクトチェックセンターは1800件のメタデータを保有している。


記者に対するディプロマ教育も行っている。海外のファクトチェックの規範と動向を理解するために2018年から研修を得た記者をGlobal Factに派遣した。IFCNなど海外のファクトチェック機関とも連携をとり、2019年にワークショップを行った。


最後にチョン氏は、「ファクトチェックは再び事実性がジャーナリズムの重要な課題となった虚偽情報の時代において倫理を強化し、人々に向けて良質な情報を提供する公的な課題を遂行できる方法である」と述べた上、「言論の現場でファクトチェックを実践しながらファクトチェックの効果を高める必要がある。また、一般の人々とファクトチェックを共有できる方法に関する研究も継続的に行うことが必要だ」と述べた。


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