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韓国で進むファクトチェック

Japan In-depth / 2020年1月13日 13時27分

後半はソン氏が登壇し、現場にいるジャーナリストとしてファクトチェックについて話した。ソン氏は、セウォル号事件によって既成メディアの信頼度が低下したが、2016年の朴槿恵元大統領のスキャンダル事件を経てメディアの重要性が浮上し、ファクトチェックに関する試みが広まったと述べた。JTBCは2014年から人気を得ているが、ソン氏は「この動きは、メディアが国民からの信頼を得るために始まった」と述べた。


チョン氏と同様に、ソン氏も2019年のニュース信頼度に関する国別ランキングについて触れた。最下位になった理由として、ソン氏はメディアによる歪曲報道と虚偽報道が多いからと指摘した。ソン氏が示した海外との比較研究を見ると、韓国メディアの記事一本あたりの取材記者の平均人数は3.33人で、アメリカや日本と比べて少ない。また、韓国メディアは匿名で書いていることが理由の一つだと述べた。


次にファクトチェックジャーナリズムが韓国社会に与えた影響について、第19回大統領選挙投票者調査結果が紹介された。ファクトチェック記事を読んで、4割が意向を変えたと答えた。変えた人の中で最も多かったのは中道の立場だった人たちで、極端に偏る人の変化は少ない。



▲写真 ソン・ヒョンジュン氏 ⒸJapan In-depth編集部


韓国におけるファクトチェックの改善点について、ソン氏は「量より質」と訴えた。代表的な例として、ソン氏は曹国前法務大臣の人事検証に関する報道が紹介された。去年、54社の報道機関が1か月で15929本の関連記事を書いた。しかしファクトチェック記事は15件しかなかった。ソン氏はこれに対して、「社会の葛藤が大きくなるのに、既成メディアは自らの役割を果たしていない」と批判した。もう一つ、ソン氏はファクトチェック自体が党派の主張のための道具に転落する危険性に対する懸念を表明した。


自身の考えについて、ソン氏は第一に、メディア同士の共同作業によるファクトチェックが必要だと述べた。「記者も間違いや勘違いをする。メディア同士が記者の意見を共有し、根拠を確認できる手順を設けることが大事」だと述べた。ソン氏は各放送局に向けて、ファクトチェックチームの構築と展開を試みたが、現場の記者からの反対によって断念した。現在は各放送局がそれぞれファクトチェックチームを増員することで合意していると述べた。


もう一つはユーザーを取り入れることだという。具体的にはメディアリテラシー普及とメディア改革の世論の拡大。例としてKBSが企画している「ジャーナリズムトークショー」が挙げられた。


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