韓国で進むファクトチェック
Japan In-depth / 2020年1月13日 13時27分
最後にソン氏は「日韓関係のために、韓国と日本のメディアがともにファクトチェックを行ってはどうか」と提案した。ソン氏によると現在の感情的な対立に意味はない。不買運動をするのは日本が嫌いだからではない。一種の防衛メカニズムで、自分を守る心理である。それは、日本ではなく極右の政権に対する防衛メカニズムであると述べた。ソン氏は「政治家が戦えるが国民は戦えない。韓国と日本の間の問題を抹殺するのはメディアの役割である」ことを述べ、日韓の記者が協力してできることはないかをこれからも考えていきたいと述べた。
質疑応答では「ファクトチェックに取り組む際にメディア同士が争うことはないか」という質問があった。これに対してチョン氏は、「クロス検証においてメディアが全く異なる判定を出したケースは今まで1件しかないし、メディア同士が戦うことはまだない」と答えた。それに加え、チョン氏は以前SNUファクトチェックセンターの記者に「もし自分のファクトチェックの結果が覆されたらどうするか」と調査したことがある。その際、「自分が出した結論がほかの人によって覆されるおそれがあるというのは健康な緊張関係。自分はいつでもチェックを受ける準備はある」という答えに記者たちは一致したとチョン氏は述べた。
次に、「ファクトチェック自体が信頼されるにはどうすればいいか」という質問に対して、チョン氏は「今までは読者より記者のほうが優位だったが、いまは読者が記者が書いた記事を評価する時代になった。記者はきちんとそれを認識しなければならない」と答えた。
最後に日韓協力に関する質問もあった。チョン氏は「ファクトチェックが自国にとって不利な結果になる可能性もある。そのときは事実に注目する。メディアは事実に関して合意できる。だから日韓関係も同じ」と述べ、ソン氏は「内部情報によると韓日両国のメディア企業がそれぞれ日本駐在、韓国駐在の自社の特派員を集めてファクトチェックに取り組むチームを作るかもしれない」と述べた。
▲写真 左から、チョン・ウンリョン氏、ソン・ヒョンジュン氏、楊井人文ファクトチェックイニシアチブ事務局長 ⒸJapan In-depth編集部
トップ写真:会場の様子 ⒸJapan In-depth編集部
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