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「施政方針演説」を独自解説

Japan In-depth / 2020年1月22日 7時0分

「施政方針演説」を独自解説


宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)


「宮家邦彦の外交・安保カレンダー 2020#4」


2020年1月20-26日


【まとめ】


・施政方針演説、中国が台頭等の新時代に、より現実的な外交を推進。


・韓国を「最も重要な隣国」と表現するも日韓関係の進展難しい。


・日露関係は米露関係が改善の影響を大きく受ける。


 


20日から通常国会が始まり、安倍首相が恒例の施政方針演説を行った。今回は初めての試みとして、この演説のうち「六 外交・安全保障」部分を取り上げ、特に重要と思われるパラグラフにつきコメントしたい。まずは(積極的平和主義)なる部分から始めよう。【】内は筆者の勝手な見立てである。


 


・・・オリンピック・パラリンピックが開催される本年、我が国は、積極的平和主義の旗の下、戦後外交を総決算し、新しい時代の日本外交を確立する。その正念場となる一年であります。


【世の中に「消極的」平和主義なんてあるのか寡聞にして知らないが、恐らくは戦後の一時期に「革新勢力」なる一部人々が弄んだ非武装中立などの「空想的」平和主義を総決算し、中国が台頭し北朝鮮が核武装するという「新たな(地政学的戦略環境の)時代」に、より現実的な外交を推進したいということだろう。】


 


・・・日朝平壌宣言に基づき、北朝鮮との諸問題を解決し、不幸な過去を清算して、国交正常化を目指します。何よりも重要な拉致問題の解決に向けて、条件を付けずに、私自身が金正恩委員長と向き合う決意です。


【米朝関係が決裂しないと日朝は動かない。金正恩はスライマーニ司令官の「戦死」にビビっているのか。ここでは「条件」を付けずに、というのが肝だろうが、この表現は従来から使われており、特に目新しい点はないが、今年は何かが動く気もする。】



▲写真 スライマーニ司令官(左)  出典)Khamenei.ir


・・・韓国は、元来、基本的価値と戦略的利益を共有する最も重要な隣国であります。であればこそ、国と国との約束を守り、未来志向の両国関係を築き上げることを、切に期待いたします。


【「最も重要な隣国」なる表現は久し振りだと思うが、「元来」という言葉に万感の思いが込められているのではないか。これを韓国側がどう受け止めるかが気になるが、4月の韓国議会選挙を考えれば、日韓関係の進展は難しいのではないか。】


 


・・・(日露)一九五六年宣言を基礎として交渉を加速させ、領土問題を解決して、平和条約を締結する。この方針に、全く揺らぎはありません。私と大統領の手で、成し遂げる決意です。


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