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なぜ進まぬ迎撃魚雷の実用化

Japan In-depth / 2020年1月25日 7時0分

 


迎撃魚雷は騒音を追尾する。頭部センサで敵魚雷の騒音を拾う。そして到来方向が一定となるよう針路をとって接近・命中する。


 


ただ、その際には迎撃魚雷自身も雑音を発生する。それなりに高速なので推進機構は騒音を発生する。また魚雷の頭部も水中を高速でかき分けて進む。水との摩擦音も発生する。


 


迎撃魚雷のセンサはこれらの雑音も拾ってしまう。雑音源はセンサから2mあるいは10cmと至近距離にある。音量は無視できない。


 


この自己雑音が敵魚雷の騒音よりも大きくなるとどうなるか?


 


迎撃魚雷は敵魚雷の騒音を探知できない。目標騒音は自己雑音でかき消される。当然ながら追尾はできない。


 


これが自己雑音の問題である。実際には敵魚雷騒音の距離減衰も影響するが簡単に示すとそうなる。


 


これは難題である。


 


センサ感度を上げても解決しない。自己雑音で敵魚雷騒音が潰されている。だから意味はない。


 


迎撃魚雷の雑音低下も難しい。一番良いのは迎撃魚雷の速力を落とすことだ。ただそうすれば速力不足は悪化し迎撃はさらに困難となる。(*4)


 


その上で指摘すれば迎撃魚雷の将来性をも絶望させる要素となる。魚雷静粛化に対応できない問題も生じるからだ。


 


迎撃魚雷は昔のエンジン式爆音魚雷への対応を前提としている。米国が重視する目標は旧ソ連の53-61魚雷である。


 


その点では最近の新魚雷対応も疑問がある。電池・ポンプジェット推進が普及しており以前ほど騒音を出さなくなっている。もちろんすべての現用魚雷に対して迎撃不能はない。だが敵魚雷との相性問題はすでに存在しているはずだ。


 


その上、将来に無騒音魚雷が出現すれば迎撃不能となる。迎撃魚雷は普及すれば騒音対策を徹底した攻撃魚雷が登場する。自己雑音問題を伴う迎撃魚雷では対抗不能となるのだ。


 


 


*1 最近露出が増えたシー・スパイダー迎撃魚雷に対する専門誌の評価は渋い。例えば『中国海洋報』では「実用化には技術的難題の解決が必要」と明言している。


張璦敏「反魚雷的魚雷 -“海蜘蛛”系統」『中国海洋報』2019年6月25日、p.4.


 


*2 探知距離は海面等温層の発達次第で変化する。その原理は述べないが同様の効果は大気でも発生する。例えばヘリコプターが見えるのにその騒音が聞こえないような現象である。


 


*3 白ほか「基于魚雷報警性能的反魚雷魚雷攔截効能分析」『指揮控制与仿真』39.4(2017)pp.61-64.


 


*4 迎撃魚雷が細長いのもその対策だ。センサとエンジンやスクリューとの距離をできるだけ離そうとしている。だがそれには限界がある。


 


▲トップ写真 米空母アイゼンハワーから発射される160ミリ型迎撃魚雷。米海軍は目標を無誘導の直進魚雷とウエーキ・ライダー魚雷の迎撃に絞っている。それ以外は音響欺瞞で対処できると考えているのだろう。


出典: 米海軍写真/撮影:Kaleb J. Sarten


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