中国情報隠しで新型肺炎拡散
Japan In-depth / 2020年2月2日 18時0分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視」
【まとめ】
・日本では武漢を含め中国各地からの来訪者の入国制限なし。
・新型肺炎急速拡大の理由は新型。
・伝染病の発生と拡散についての情報を開示しなかったこと。
・コロナウイルス大流行は習近平氏終身任期の異様な独裁により加速。
中国での新型ウイルス肺炎の広がりを習近平国家主席の独特の独裁体制での情報隠しと結びつけ、いまやその体制への重大な打撃が起きているとする議論がアメリカの識者の間で表面に出てきた。この議論は日本政府が予定する習主席の国賓訪日招待の計画ともからみ合っているといえる。
中国の武漢で発生した新型コロナウイルスによる肺炎はいまや全世界へと拡大した。中国本土での感染者が1万4380人、死者が304人と発表された。(2月1日時点)全世界では、中国以外で日本を含め26の国と地域で170人の感染者が出ている。
▲図 2020年1月31日現在のコロナウイルス感染地域 出典:Centers for Disease Control and Prevention
日本でもこれまで15人の感染者が出て、うち2人は中国を訪れたことはなく、来日した武漢出身の中国人と接触しただけだという。
この結果、香港やシンガポールなどが中国からの訪問者の入国を大幅に制限し、北朝鮮やモンゴリアのように全面禁止する国も出てきた。
だが日本では武漢を含めて中国各地からの来訪者の入国にまったく制限をつけておらず、政府の対応の甘さが国際的にも顕著となってきた。中国政府が武漢からの他国への飛行を制限し、中国から海外への団体観光客の出発を禁止したことも伝えるなかで、日本政府の措置は異様なほど緩やかにみえる。
さてこうした現実のなかでアメリカではこの危険な伝染病の広がりを政治的角度からも分析し、習近平独裁体制との特徴との相関関係を論じる見解が目立ってきた。
「中国の新型ウイルス肺炎の広がりは中国に破局的な惨禍をもたらせば、中国共産党の独裁体制と習近平国家主席の個人崇拝的な絶対支配が非難され、崩れることにもなる」――
その代表例は以上のような論旨だった。アメリカの識者から現在の中国での謎の伝染病の広がりを習近平氏の下での異様な独裁体制と結びつける厳しい批判が表明されたようになったのだ。
こうした見解はアメリカの大手新聞ウォールストリート・ジャーナルは1月26日付に「中国の検閲がウイルスの拡散を助長した」という見出しのオピニオン記事で登場した。
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