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中東は日本の生命線なのか?

Japan In-depth / 2020年2月5日 7時26分

 


そのエネルギーも天然ガスへの転換が進んだ。73年度は化石燃料の83%が石油であった。それが17年度には43%まで低下した。天然ガスと石炭シフトの結果だ。


 


今後は化石燃料への需要そのものが減少する。再エネ発展や人口減少が進む。


 


つまり必要な石油量は以前ほどではない。仮に中東産原油が止まっても代替入手は容易となっているのである。


 


 


■ 天然ガス代替の拡大


 


第2の理由は天然ガス代替の拡大である。天然ガス活用は今後さらに広がる。それにより今後の石油需要はさらに縮小する。また中東石油不足時には石油需要の相当を代替する。ガス田には地理的偏在はないためその場合でも供給は確保される。


 


現時点でも天然ガスは活用されている。都市ガス等の単純熱源や発電用燃料としての利用は承知のとおり。化石燃料で占める割合は1%弱から26%弱まで上昇した。


 


利用範囲は今後はさらに広がる。自動車や船舶、石油化学原料としても多用される。


 


自動車では燃料としてすでに利用されている。バスやトラックではCNG:圧縮天然ガスやLNG:液化天然ガスの利用が進んでいる。(*2) タクシーで多用されるLPG:プロパンも油田由来からガス田由来に変化している。EV車の電気も相当分が天然ガスで発電されている。



▲電気自動車EVも天然ガスで動いていると言える。東京電力発電構成の筆頭は天然ガスである。EVはその電力を貯めて走っている。写真は日産リーフ。日産自動車「リーフ [ LEAF ] Webカタログ」より。


 


船舶燃料もLNG化が始まった。排ガス規制強化を見越したLNGディーゼルはすでに実用段階に達している。そして排ガス規制は今年から始まった。今後は新造船の多くはLNG燃料船となる。


 


プラスチックほかの原料ともなっている。別稿に譲るが石油化学工業の太宗、エチレンの原料は天然ガスにシフトしている。


 


この天然ガス活用は石油不足時にはさらに広がる。石油不足の穴を埋める。また高価格化した石油からの切替先として利用される。


 


最悪の状況でも天然ガスから石油は合成できる。GTL:ガス合成液化によりガソリンも軽油も重油も作れるのだ。当然だが合成油でガソリン車もジェット機も舶用ディーゼルも動かせる。


 


この天然ガス活用の拡大も中東産石油生命線論を否定する。仮に日本1.9億klの石油需要の半分を天然ガスで補い得るとしよう。そうすれば原油必要量は0.9億KLに減少する。つまり中東産以外でも賄いやすくなっているのだ。


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