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中東は日本の生命線なのか?

Japan In-depth / 2020年2月5日 7時26分

 


■ 非中東石油の開発拡大


 


第3の理由は非中東産石油の開発である。ここ40年で中東以外の原油生産は増加した。それにより中東産石油は代替できるようになった。


 


以前から知られる例は次の2つ。北海油田の開発とロシア産石油の市場流入である。


 


最近では過酷条件での開発成功や非在来型石油の登場もある。前者はノルウェーやロシアの北極海油田開発やブラジル沖の大深度海底油田プレソルト開発である。後者はオイルサンド、オリノコ・ヘビータール、シェール・オイルの資源化である。



▲プレソルト層を示す図版。ペトロブラスはブラジル沖で水深7000mまで掘削して石油を採掘している。岩塩層下にあるプレソルト層の油田のためプレソルト油田と言われる。図版はPETROBRAS社資料『PRE-SALT』より。


 


また油田再生や石油改質の技術も進んだ。前者は熱攻法、化学攻法の実施である。後者は粗悪油からの軽油やガソリンの製造である。


 


これも非中東石油を有利にする。老朽油田や低品位原油、重質の残渣油も資源化されるのだ。


 


結果、中東石油は非中東石油以外でも代替可能となった。すでに非中東石油の埋蔵量は中東石油を超えている。


 


もちろんいずれも高コストである。採掘や改質に手間がかかる。そのため安価な中東産石油のシェアを奪うには至っていない。


 


ただ、それゆえに価格上昇に伴って湧き出してくる石油となる。原油価格が採算点を超えた途端に大量供給されるのである。


 


これも石油確保の不安を払拭する。中東以外からでも充分量の石油が供給されるのである。



▲ホルムズバイパス。話題となるホルムズ湾原油途絶と中東産出原油途絶は等価ではない。またホルムズ通峡不能となってもバイパス・パイプラインによりペルシア湾湾奥部の原油を地中海や紅海に積み出せる。米EIAの図版をWIKIMEDIAより入手。パブリックドメイン。


 


 


今日では中東産石油は日本の生命線ではない。日本の石油需要は縮小している。その石油需要も天然ガス代替でさらに圧縮できる。そして圧縮された日本の石油需要は中東以外からでも確保できるのである。


 


 


 


(*1)『平成30年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2019)』(資源エネルギー庁,2019年)


   「第3節 一次エネルギーの動向」のグラフや添付エクセルファイルより


 


(*2)例えば本サイト筆者記事であれば


   文谷数重「LNGトラックは水素トラックを駆逐する」『Japan In-Depth』(Japan In-Depth,2019)https://japan-indepth.jp/?p=44457


   文谷数重「水素自動車は普及しない」『Japan In-Depth』(Japan In-Depth,2018)https://japan-indepth.jp/?p=38870


 


▲トップ写真 オイルロードを航行するタンカー


出典: 石油連盟ホームページ


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