昆虫=エイリアン説と臨死体験 笑うに笑えない都市伝説 最終回
Japan In-depth / 2020年2月8日 11時1分
林信吾(作家・ジャーナリスト)
【まとめ】
・DNAは人間の顔立ちなどを決定づける遺伝情報の宝庫
・「昆虫エイリアン説」は隕石に付着して宇宙空間からやってきた微生物が、地球環境に適応して進化た、と考えるもの。
・臨死体験は人間の脳内に死の恐怖を緩和するメカニズム。
前回、科学が今後さらに進歩すれば、血液型と人間の性格には関連性がある、という話なども、真偽を含めて解明される可能性があると述べた。それまで「ピラミッドは宇宙人が作った」「日本文化の本当のルーツは古代イスラエル」といった都市伝説を批判的に取り上げたので、途中で論旨が変わったのか、などと思われた読者もいるかも知れない。
そういうことではなくて、薄弱極まる根拠で勝手な「学説」をとなえる人たちには同調しかねるが、現代科学もまだまだ発展途上にあるわけだから、すぐに「非科学的」だとのレッテルを貼る態度もよろしくない、と私は考えているのだ。
少し前にNHKの特集番組で取り上げていたが、これまで、遺伝子工学の観点からはDNAの90パーセント以上はなんら有益な情報をもたらさない「ゴミ」だと考えられてきた。しかし、解析技術の進歩によって、ゴミどころか人間の顔立ちなどを決定づける遺伝情報の宝庫であることが分かってきたのである。今やその技術を応用して、犯行現場に残されたDNAから容疑者の顔立ちを推定する「DNAモンタージュ」という技術まで実用化されているのだとか。「男の顔は履歴書」などと言われてきたが、遺伝情報で大体決まった顔になるというのでは身も蓋もない、と感じた反面(ゲストの俳優も同じようなことを言っていた笑)、このように科学捜査が発達して冤罪が減ればよいな、などとも思った。
IPS細胞を発見してノーベル賞を受賞した山中伸弥教授がゲストとして招かれていたが、ご自身も学生の頃、DNAの大半はゴミだと教わった、と語っていた。過去20〜30年間の科学の進歩は、それほど目覚ましかったのである。
私自身は科学者でも研究者でもなく、それどころか理系の勉強を苦手としてきた人間だが、こういう科学情報に接するのは大好きだ。特にここ数年、ずっと興味をかき立てられている、若い人たちの言い方を真似れば「マイブームになっている」話題がふたつある。
「昆虫エイリアン説」と「臨死体験」だ。
前者についてまず述べると、昆虫は外見や生態が他の動物とあまりにも違うので、進化論でなかなか説明がつかない。ことによると地球上の生命体には二つの流れがあるのではないか、と言い出す人がいた。
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