仏激震 わいせつ動画流出で
Japan In-depth / 2020年2月22日 11時26分
▲動画 身柄を拘束されるパブレンスキー容疑者
ロシアでの時と同様に、今回パブレンスキー容疑者が起こした事件は、「価値観の違い」、「表現の自由」、「インターネットの脅威」など、多用な要素が含まれており、フランスでも大きな衝撃を与えている。
■ 価値観の違い
これまでフランスは、政治家が家族以外の異性関係があったり性的な問題があがっても、それは純粋な個人的問題であり業績とは関係ないとすることは、特にフランス政界では普通のこととされてきた。しかし、このロシアからの亡命者の価値観では、到底、許せないことだったのである。
パブレンスキー容疑者はグリボー氏について、「多様なセクシャリティを持つことは当然のことだが、彼は常に家族愛を持ち出し、家族のための市長になりたいと話し、自分の妻や子どもを繰り返し引き合いに出す人物だ。だが、実際は逆のことをしている。私は現在フランスに住んでいるパリジャンです。有権者として許せませんでした。」日刊紙リベラシオンに電話で述べている。
日本でも不倫は許せないと言う傾向が強いが、現在では多少は変わってきているものも宗教色が強いロシアでも、家族以外に性的関係をもっていることは道徳的に許せないという感覚の人は多いという。日本がロシアがと言うよりも、多くの先進国の中でも状況はほぼ同じであり、どちらかと言えば家庭外恋愛に対してとても寛大で、公私を分けることが徹底しているのは、フランス独特の価値観ともいえるのかもしれない。
フランスでは、亡命者や難民はフランスについて学ぶコースが義務付けられている。そして、語学教育の中でもフランス文化を教えることに大きく時間を割く。しかしながら、その中でも、こういった自由恋愛の価値観や、私生活と公的生活は分けて考えるという価値観は教えられているとは到底考えにくい。最終的には、本人のモラルに頼ることとなる。しかし、そのモラルが各人によって違えば、到底受け入れられることと、受け入れられないことも変わってくることとなるのだ。家族が居ながら他の女性と性的関係を持ちながら、「家族を大事にしています」と言い続けることは、フランスの価値観では正当でも、パブレンスキー容疑者にとっては単なる「偽善」に聞こえたのだ。
■ 表現の自由
フランスの幅広いメディアや政治家らは、グリボー氏を中傷キャンペーンの被害者だと表現している。しかも、卑劣な動画で攻撃されることによりグリボー氏が出馬を断念することは、現在同様な内容でいじめにあっている被害者に対しても、「やられたら終わり、やられたら泣き寝入りするしかない」と言うメッセージを送ることになると、出馬を取りやめたことを残念がる声も多い。
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