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仏激震 わいせつ動画流出で

Japan In-depth / 2020年2月22日 11時26分

パブレンスキー容疑者にとっては、今回の行動は以前から行っている政治家や権力に多する活動の一環だとしている。モスクワの「赤の広場」で、自分の睾丸を敷石に釘を打ち付けた際も、「専制的な支配に対し声を上げ、われわれは今、警察国家と対峙しているという事実に危機感を喚起したかった」という理由で行ったのである。


フランスでもその活動は終わっていない。今回新たに立ち上げた「政界のポルノプラットフォーム」に「役人、政治家、権力の代表者」を対象とし、さらに動画を投稿し続けていきたいと語っている。また、事情聴取後の取材には、「この3日間、弁護士がついた状態で聴取されなかった。」と嘆きながら、「フランスは表現の自由の国だと思っていたが、まったくそうではない。」とも非難した。


フランスでは「表現の自由」が守られているとはいえ、シャルリー・エブド襲撃事件の時にも、実際どこまでを表現の自由として許されるかについて、世論は大きく割れた。今回の事件に関しては、私的なひわいな動画をインターネット上に流布させることは、フランスでは2016年以来フランスで犯罪とされ、2年の懲役および60,000ユーロの罰金により処罰が決められており刑事的に罪であることは間違いないが、他の細かい事象に対しては、詳細に決められているわけでもない。「モラル」と「必要とされる抗議活動」との境界線をどこで判断していくかが、常に問われ続けているのだ。


 


■ インターネットの脅威


複数の討論でも、「このような攻撃は民主主義に対する脅威」だとコメントが出された。政治に関する情報を伝えるメディアLCPではもっと具体的に、「これは、私たちの民主主義システムが変更されたことを示しています。ソーシャルネットワークの力は、古典的な政治的議論よりも強いことを表しています。」と述べているコメンテーターもいた。


現在まで、選挙と言えば、政治家はテレビなどのメディアで討論しているのを聞いたり、適切なマナーを知っている記者が書いた記事を読んで、選挙が行われてきた。しかし、インターネットの出現で、そうった古典的な民主主義システムは崩壊しつつあるのだ。


実は、パブレンスキー容疑者は、自分でインターネット上に動画を上げる前にあるメディアに話を持ち込んでいたとされる。しかし、メディア側は、私生活に関することは載せることはできないとその掲載を断った。昔ならば、この時点でこの動画が世の中に出ることはなかったかもしれない。しかし、現在は、社会的一般のモラルから反してしても、個人が誰でも手軽に自分が伝えたいことをインターネット上に上げて拡散できるのだ。現に、黄色いベスト運動でも大きく活用されてきているように、ソーシャルメディアを中心に、インターネットメディアはかなり強力な力を持つ情報源となっている。以前のように、統制された情報を流すことにより、理念やモラルを統一していくことは難しくなっているのだ。


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