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英国民と女王のトラウマ(上)何が違う?日本の皇室と英の王室 その2

Japan In-depth / 2020年2月22日 22時22分

「数名を吹き飛ばした」


ことを公表した。英国の王族で、戦場に出向いた人はたくさんいるが、直接的に敵を殺傷した例となると、ほとんどない。この件で、イスラム過激派からは「兄弟の仇」として殺害予告を受ける羽目になったが、それも含めて彼を英雄視する英国人が一気に増えた。


「やんちゃな次男坊だが、国のために、やる時はやる立派なプリンスだ」


という評価が定着しつつあったのだーーメーガン妃と結婚するまでは。


2017年、祖父のエジンバラ公が、高齢を理由にのため公務引退を発表したのを受け、海兵隊元帥の職を引き継いだ。ちなみに英国海兵隊は制度上、海軍の一部であり、正式な階級としての元帥は存在せず、名誉職である。



▲写真 ヘンリー王子 出典:Flickr; Eva Rinaldi


いずれにせよ大事な公務であるはずなのに、なんと彼は就任直後最初の戦死者慰霊式典をすっぽかした。新婚早々だったメーガン妃と一緒に、ディズニーの新作アニメ映画『ライオンキング』の試写会に出かけたのだ。しかも、嘘か本当か知らないが、試写会場に来ていた制作関係者に対し、


「次の映画では、ぜひとも私の妻を声優に」


などと話しかけたとまで言われている。要するに、3歳年上で、あまり売れなかった元ハリウッド女優の嫁に頭が上がらない男、という烙印を押されてしまったのである。


当然ながら……という表現には我ながらいささか抵抗を感じるのだが、英国民のメーガン妃を見る目は厳しくなる一方であった。そして、今次の離脱騒ぎに至ったわけだが、人種差別的な言動は論外としても、ある年代以上の英国人にしてみれば、


「バツイチのアメリカ女が、またやってくれたか」


とでも言いたくなるのは(これまた語幣はあるが)、無理からぬ面もある。



▲写真 メーガン妃 出典:Flickr; Northern Ireland Office


1936年の「王冠を捨てた恋」も、相手は離婚歴のある米国人女性だった。


この年の1月20日、時の英国王ジョージ5世が逝去した。そして、長男がエドワード8世として即位したのである。


ここまではよかった。このエドワード8世は洒落者として知られる一方、学生や労働者と膝を突き合わせて議論するのを好むという人柄で、スピーチも機知に富み、上手だった。当時の新聞雑誌はこぞって「不世出の王室スポークスマン」とほめそやしたほどである。


ただ、問題がひとつあった。シンプソン夫人という米国人女性との関係を、どうしても清算できなかったのだ。


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