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米はコロナウイルスに勝てるか

Japan In-depth / 2020年2月29日 13時32分

 


医薬開発で世界の最先端をいく米国ではあるが、未知の部分が多いCOVID-19のワクチン開発には少なくとも半年、1年以上はかかりそうだと専門家は見ており、各社の開発競争は熾烈さを増している。一方、米食品医薬品局(FDA)は医薬品不足や偽の治療薬による詐欺などに注意するよう、監視を始めた。


 



写真)重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)用のCDCの臨床検査キット


出典)CDC


 


一般国民に対しては、学校の休校などの社会の機能ストップの事態に前もって準備をしておくようにCDCが呼びかけを行っている。カイザー・ファミリー財団のアンケートでは、米国人の57%が「コロナウイルスは米経済に悪影響をもたらす」と回答するなど、認知は高まっている。このように、「もし」ではなく「大流行はもう時間の問題」を前提とした対策や提言が、従来の水際対策と同時進行で進められている。


 


コロナ流行を人災にしないために


 


だが、最悪の事態も想定し、各国の失敗に学んだはずの米国の対策には、多くの欠陥が指摘される。水際においては中国からの旅行者を制限したものの、中国人旅行者が未だにほぼ自由に往来する日韓から米国への旅行は制限されていない。つまり、「ザル」状態だ。日韓からの観光客が多いハワイなどでは懸念や批判が高まっている。


 


特に危険視されているのが、トランプ大統領が繰り返し主張する「コロナウイルス感染は大部分において制御されている」との見解だ。確かに感染者数は現在のところ抑えられている。しかし感染が静かに進行中で、すでに米国が感染地域化している可能性が高まっているにもかかわらず、基本認識が誤っていれば効率的にコロナウイルスと戦えない。


 


与党である共和党のジョン・ケネディ米上院議員は、「どのくらいの数のマスクが必要で、(流行になれば)どれだけの人工呼吸器が必要なのか、早急に答えを出す必要がある」と指摘している。未だに希望的観測である「もし」にすがり、最悪を想定した「いつ」の対策が遅れることが懸念される。


 


また、コロナウイルス禍を政治の道具化する動きにも批判が集まっている。トランプ政権が要求したコロナ対策の補正予算は25億ドルで、その半分を福祉や低所得層向け住宅関連など疾病対策としても重要な分野から流用するとしたことで、野党の民主党だけでなく与党の共和党内からも反発が強まっている。


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