「緊急事態宣言、事前の国会承認必要」山尾志桜里衆議院議員
Japan In-depth / 2020年3月12日 21時28分
安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)
Japan In-depth編集部(油井彩姫)
「編集長が聞く!」
【まとめ】
・新型インフルエンザ等対策特別措置法改正案が国会で間もなく成立。
・緊急事態宣言として国会報告では足りず、承認が必要。
・安倍政権のリーガルマインドの欠如は底が抜けている。
新型コロナウイルス感染症を適用対象に加える新型インフルエンザ等対策特別措置法改正案が3月11日、衆議院内閣委員会で与野党の賛成多数で可決した。
感染拡大を抑制するために私的権利の制限を含む措置をとれる「緊急事態宣言」が可能となる。発令する際、国会への事前の報告を求める付帯決議も採択した。
衆議院議員山尾志桜里氏に話を聞いた。所属する立憲民主党は3月11日午前中の内閣委員会にて賛成したが、山尾氏の見解はどうなのか。
■ 緊急事態宣言について
「まず、今回の特措法に関してどれだけ私権の制限が強いかを見るべきだ」と山尾氏は述べた。
「私自身非常に驚いたが、総理大臣が政令で指定すれば、民放テレビ局に対し報道内容に介入することができるという。3月28日の法務委員会で質問したときの政府答弁は、変更・差し替えも指示し得るというものだった。民主主義のインフラに関わるかなり強い私権制限といえる」と述べ、報道の自由が侵害される状況が生まれかねない事に、強い懸念を示した。
また、期間は2年が上限で、その後1年ごとに延長ができ、延長の回数制限はない。これに対し山尾氏は、「民主主義が機能する前提条件がない状態をずっと続けることができる」と述べた。また、それに対して市民が異議を唱えようとしても、集会を開くことさえ許されない状況が生まれる、と懸念を示した。
そして、「これだけの強制力を持つ緊急事態宣言として、国会報告では足りず、承認が必要だ」と述べた。その理由として「強い私権制限だからというだけではなく、報告だと主体が政府になってしまう。承認事項にすることで与野党議員が、共に責任の主体になる。賛否の責任を負ってこその国会議員であり、立法府」であることを挙げた。
その上で、「スピード感と人権保障のバランスの問題なので、宣言の時は例外的に事後承認にする余地はつくるべきだと思う。ただ延長の時は締め切りが見えているので事前承認ができるはずだ」と述べ、緊急事態を無制限に延長できるような仕組みに反対した。
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