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空自輸送機調達のいい加減さ

Japan In-depth / 2020年3月14日 23時43分

空自輸送機調達のいい加減さ


清谷信一(軍事ジャーナリスト)


【まとめ】


・部品共通化が図れず、C-2の開発予算は大幅に高騰。


・C-2は舗装された滑走路以外では運用不可。


・C-130Hの近代化、より新しく小さな輸送機の調達が望まれる。


 


航空自衛隊は国産のC-1輸送機の後継として同じく国産のC-2輸送機の調達を進めている。だが、空自が調達予定しているのはC-2のみである。空自はC-130Hを16機保有しているが、調達は昭和56年度からであり老朽化が激しい。空自には実戦を想定したまともな輸送機のポートフォリオを組むという意志がまったくなく、単に国産のC-2輸送機の調達自体が目的化しているように思える。そのC-2も色々と問題のある機体だ。C-2の調達は中止して、まともな輸送機のポートフォリオを再構築すべきだ。


C-2の開発は海上自衛隊のP-1と同時開発することによって、部品を共通化して開発費や調達コストを低減できるとされ、両機の開発予算は約3400億円とされていた。だが、この機種は全く異なる特質、サイズの機体であった。このため共通化される予定だったコンポーネントの多くは、例えばアクチュエーター(油圧)関連などそれぞれ別個に開発することになった。これがコスト増の一因となっている。コンポーネントが事実上その機体の専用となれば開発費も別途必要であり、量産が効かずに単価が上がるのは当然だ。



▲写真 C-130 出典:航空自衛隊


更に開発の遅延もあって二機種あわせて、3400億円といわれていた開発予算は大幅に高騰した。しかも当時防衛庁は各機の個別の開発予算を公開していなかった。どんぶり勘定である。C-2の開発予算は約2220億円(初度費を含めれば約2500億円)である。調達単価も100億円から215億円とこれまた高騰している、ペイロード(搭載量)が約3倍の米空軍のC-17輸送機に匹敵する値段だ。


そもそもこの大型機二機の開発と、海自のUS-2の開発が重なっており、日本の航空産業の人的なキャパシティを超えていた。これも開発遅延とコスト高騰の理由となった。完全に官の側のマネジメント能力の欠如による「人災」である。


またC-2は機体強度に問題があり、その補強でかなり機体が重くなっている。しかも設計の段階で主翼を前につけすぎために重心バランスが悪く、この調整のために機首に重さ1トンの鉄板を搭載してバランスをとっている。これらの要因によって、ペイロードは大幅に下がった。このため重量物を搭載する場合は燃料を極端に減らして空中給油を行う必要がある。空自は搭載量がどの程度下がったか具体的に明らかにしていないが、離陸時の燃料を極端に減らすことでペイロードを確保している。これは一種の性能偽装である。


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