ガソリンは100円・ℓ切らない
Japan In-depth / 2020年4月1日 11時0分
文谷数重(軍事専門誌ライター)
【まとめ】
・コロナ経済危機により原油価格は25ドルを割った。
・だがガソリン価格は以前ほど下がらない。
・その理由はスタンド数減少、系列整理と転売縮小、人件費上昇。
■ ガソリンはリッター100円を切るか?
原油価格が急落している。年末は1バレル60ドルであった。それが3月初頭には40ドル、3月中旬の16日には30ドルを割り18日には20ドル丁度まで落ちている。これは20年ぶりの低価格である。*1
その影響としてガソリン価格の下降も予測されている。中には90年代末から00年代初頭の低価格の期待もなされている。当時は東京市内平均でもリッター100円を割っていた。*1 近郊では90円以下も珍しくはなかった。*2
▲図 「ガソリン1L当たりの小売価格(東京都区部)」 出典:総務省統計局
ガソリン価格はどこまで下がるだろうか?
東京市内では平均100円は切らない。前回同様の原油価格水準でもそうなる。なぜなら次の3つの点で状況が異なっているためだ。第1はスタンド減少、第2は系列整理、第3は人件費の上昇である。
もちろん低価格スタンドであれば100円を切る事態はありうる。ただ、以前のように90円や85円を割る事態はこない。
■ スタンド減少と競争緩和
ガソリン価格は以前ほど下がらない。
第1の理由はガソリンスタンド数の減少と店頭価格競争の緩和である。ガソリンスタンドは大きく減少した。それによりスタンド間での熾烈な価格競争は消滅した。そのためガソリン価格は急激かつ徹底的には下がりにくくなっている。
実際にスタンド数は25年で半分以下となった。ピークの94年には60421店あった。それが今日では3万を割っている。最新数字は18年度末の30070である。傾向からすれば20年度末には2万8000店といったところだ。*3
そしてスタンド間の競争も起き難くなった。
以前は熾烈な競争があった。地域には多数のスタンドが存在しており、そこで優位に立つためほとんどが地域最低価格を称していた。そのため出血覚悟の価格引き下げを行っていた。
今はその影もない。地域価格を引き下げるような叩きあいは珍しくなった。さらに言えば非価格的な競争もなくなっている。ティッシュのオマケや無意味な旗振りもほぼなくなった。
最近ではむしろスタンド過疎化が問題になっている。近所で給油ができない不便を訴えるガソリン難民が出現する時代となっている。
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