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暗黒のNYにトンネルの出口

Japan In-depth / 2020年4月9日 9時20分

暗黒のNYにトンネルの出口


柏原雅弘(ニューヨーク在住フリービデオグラファー)


 


【まとめ】


・外出規制が続き、市民は「閉所性ストレス」に。


・新規に入院した患者は劇的に減ってきている。


・「見えてきたかもしれない出口」への期待が気持ちを明るくする。


 


 


目が覚めると今朝もまた、ため息がでてしまった。


 


ここのところ、春の朝の明るさが眩しい。だが毎日、私と家族は皆、朝を暗鬱な気分で迎えている。


 


ニューヨークでは外出制限が日々厳しくなり、午前中は必ず家にいることが多くなった。その結果、11時のクオモ・ニューヨーク州知事の会見をテレビで見ることが日常の一部になっている。



写真)クオモNY州知事


出典)flickr : Metropolitan Transportation Authority of the State of New York


 


 


先日見ていた会見で「キャビン・フィーバー」なる言葉を知った。聞いたことのなかった言葉だったが、「閉所性ストレス」というような意味らしい。要は、ずっと同じ場所に閉じこもり状態になると起こる情動不安定な精神状態全体を指す言葉で、今、ニューヨークに住んでいるひとは大なり小なり、この症状を抱えているのではないかと想像してしまう。


 


買い物に行くため、一人外に出る(買い物には基本、一人で行けとの州政府からの通達)。私のアパートの外は、西部劇のゴーストタウンか、核戦争後の街を描く映画よろしく、通りにはほとんど人影が当たらない。しかし、おびただしい数の建物の、おそらくすべての窓の中には、ぎっしりと住人が息を潜めている。重要な用事以外、外には出てはいけない。これでは住人の誰もが「キャビン・フィーバー」になっていてもおかしくない。


 


スーパーに着くと長蛇の列。大きなスーパーの中には常時10人程度以下しか客は入れないため入場制限。長蛇の列のひとりひとりの客の間は180センチ開いている。客には笑顔が皆無だ。人と絡み合うのが大好きなニューヨーカーなのに喋る人は誰もいない。とにかく雰囲気が暗い。


 


毎日が息苦しい。



写真)スーパーに入る長蛇の列。間隔を180センチ以上開ける警告に従わなければ1000ドルの罰金だ。


出典)筆者提供


 


今朝のクオモ知事の会見によると、この日はNY州で最初に新型コロナの陽性患者が発見されてから37日目だということだった。そんなに経ったか?と思い、カレンダーに書き込んでいた日付を確認してみた。


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