仏、コロナで拡がる教育格差
Japan In-depth / 2020年4月21日 23時0分
外国から来た留学生の中には、遠くに住んでいる家族から十分な援助ももらえず、外出禁止の影響で生活苦に陥ったいった学生もいる。例えば、ピカルディージュールベルン大学修士を取るためにマリから来ている学生は、外出禁止が始まる前に両親から100ユーロ送ってもらったきりである。この一カ月、10m2の大学の寮に閉じこもり、一日一度の食事で過ごした日もある。この25歳の若者は、以前は、配達業で月700ユーロ稼ぎ、家賃と毎月の請求書を払ってきた。しかし、インターシップで働くので、ちょうど仕事は3月にやめたところに外出禁止が始まったのだ。4月の大学の寮の家賃を払うのに160ユーロいるが、それは確実に払えない状況である。現在では「心のレストラン(Restaurant du cœur, 略して Retos du cœur)」という名のフードバンクで食事をさせてもらって食いつないでいくだけで精いっぱいだ。
以上のような問題点が報告されたことにより、国からもさまざまな支援がされることとなった。ブランケール国民教育大臣は、勉強環境が整っていない生徒には、宿題を郵便で送れるようにLaPosteと提携し、学校にも必要な機器を用意できるように手配するなどを約束した。
4月13日のエマニュエル・マクロン大統領の演説では、不安定な状況の学生に対して新たな援助をすることも発表された。また、並行して、多くの大学や自治体も、さまざまな種類の援助を強化し、新しいデバイスを増設したり、勉強に必要なデバイスの貸し出しするなどサポートを設けて支援している。
▲写真 Emmanuel Macron 出典:flickr by Jacques Paquier
フランスもこの非常時という状況の中で、オンライン教育を活用しできる限りの努力をした。その結果、大きく助けられた生徒たちも多く存在したのは事実だ。しかしながら、うまく乗り切れなかった子供たちも存在したのである。
5月11日に早々と学校を再開するのは、この期間に助けられなかった子供たちにもできるだけ教育の機会を与えるためでもあるとしている。そして、夏は通常通り、夏休みのバカンスとするが、この外出期間中に勉強が遅れた生徒が学べる場をもうけることも計画中だ。これらのフォローの結果、外出禁止期間中に大きく開いた格差もなんとか縮め、ドロップアウトしかけた生徒も戻り、無事全員が9月から新学年を迎えられることを今から願うばかりである。
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