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仏、コロナで拡がる教育格差

Japan In-depth / 2020年4月21日 23時0分


▲写真 Seine-Saint-Denis 出典:flickr by Philippe Charles


さらに、子供によっては、日常とは異なる状況下で心理的にモチベーションが下がる場合もある。筆者の娘の中学校の一人もそのような状況の生徒がいた。普段は学校でもそれなりにでき成績もよかったが、ネット上で一緒に授業も受けていたのにもかかわらず、宿題を白紙で出し続けていたという。


また、教師の対応も子供たちには大きく影響を与える。大量の宿題をして提出だけ求め、あげくの果てに、「いっぱい間違っていたけれども、私は時間がないから間違いの修正はしないわ。答えはサイトにあげておくから自分で答え合わせをやっておいて」とメッセージを送った教師がいたが、次の週には誰もその教師の宿題を提出しなかったそうだ。反対に、宿題を提出したことに対して「受け取りました、ありがとう」「がんばったね」などと確実に反応した先生の宿題は比較的に提出率、継続率もよかったようである。オンライン学習の充実と、機器をそろえるだけではなく、教師のコミュニケーション方法も大切だということがうかがえる。


高校生になるとどうだろうか。電子機器を親よりもうまく使いこなせる生徒が多くなる年代であり、勉強する意思があり、機器さえそろっていればオンライン学習は問題ないようにも思われる。しかし、それは通っている学校によっても変わるようだ。普通高校では、そこまで問題はなかったようだが、職業系の高校(CAP, BEP, bac pro)では、過去最大の割合で生徒の離脱が見られたという。


ブランケール国民教育大臣が、生徒の教育からの離脱が5から8%であるといっているのを聞いて、オーブ県のトロワ市の高校で文学と歴史を担当する教師、ヴァンソン・マンニュ氏は苦笑する。「職業系高校では、ほぼ半分の生徒から連絡がなくなりましたよ。うちの高校2年生のクラスでは、29人の生徒のうち、メールを返信してきたのは15人だけです。」。歴史・地理教師協会の事務局長補は、他の科目では5%~6%しか反応がない場合もあると語る。もともと勉強についていくのも難しい生徒たちも存在しており、オンライン学習によって状況はさらに悪化したのだ。



▲写真 Troyes, Aube, France 出典:flickr by Roland Turner


全国で約70万人いる職業系の高校の生徒たちは、普段でも学業についていけずドロップアウトするケースが普通高校よりも多い。さらに、家庭での勉強環境も整っていないケースが多数ある。「トロワ市の環境のあまりととのっていない地区や農村部から来た生徒の中には、携帯電話しか使えず、接続状況も悪いことが多いです。」と前出のマンニュ氏は語る。Snuep-FSU組合の書記長であるシグリ・ジェラルディ氏によれば、「多くの人がIT機器に慣れておらず、私たちは現在、大規模なドロップアウトを目撃しています。」と証言する。


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