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仏、コロナで拡がる教育格差

Japan In-depth / 2020年4月21日 23時0分

さらに言えば、職業系の高校は、実技が多い。まだ会計などの教科はオンライン学習も可能であるが、生産保守、運転技術、建築、配管工事やメンテナンス作業の場合、オンライン学習では実技指導はほぼ無理だ。この結果、カリキュラムを十分に終えてない生徒が増え、来年に大きく影響を残すだろうと予測される。そういった問題を回避するためにも、職業系高校では、今後どのように対応していくかなどの提案を教育省に出しているところだそうだ。


筆者の息子が高校に進学するときに、中学校の校長先生が、「普通高校は、家で週平日7~8時間、週末6時間、一人で勉強できる人のみに推奨します。ですが、一人で勉強ができない生徒は、職業系の高校にいくべきでしょう。職業系の高校では学校ですべてが完結します。家で勉強しなくてもついていけるようにカリキュラムが組まれています。」と説明していたが、まさに職業高校の生徒は一人で勉強できないからこそ、その学校を選んでおり、だからこそオンライン学習が向かない生徒も多いといえるだろう。生徒によっても学習内容によっても、オンライン学習に向き、不向きがあるのだ。


大学も閉鎖が始まってからオンライン学習をすすめているところがほとんどだが、連絡が途絶える学生も増えている。パリ第8大学、ヴァンセンヌ - サン=ドニ大学の教育学部教授であるステファン・ボネリー氏によれば、3分の1の学生からの連絡が途絶えたという。「いとこがコロナウィルスで亡くなり、今、宿題をする気持ちになれません」と、メッセージをよこす学生もいるが、家賃の支払いや家計を支えるためにレジ係として働いているため学業が続けられない学生もいる。しかし、生活費に苦しむ学生は、この地区だけに限った話ではない。フランスでは学生の46%が在学中に働いている。



▲写真 L'Université Paris VIII bloquée, le 6 avril 2018. 出典:Mohatatou


また、レンヌ大学では、おそらくフランスで唯一、「外出禁止に関連する困難をよりよく理解するために」学生の生活状況に関するオンラインの匿名調査をし、3日間で3400以上の回答を収集した。アンケートによると、生徒の3分の2は、教師の教育の継続性に満足しており、おおむね良好な結果であった。しかしながら10%から15%の間では、デジタルツールへのアクセスが困難(機器の問題または接続環境の問題など)と回答している。また学生の半数が、学問的(35%)、心理的(27%)、実用的(17%)および経済的(14%)な困難に直面している実情も浮彫になった。


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