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新型コロナの切り札「抗体検査」

Japan In-depth / 2020年4月30日 11時46分


▲画像 新型コロナウイルスと闘う細胞のイメージ 出典:南方科技大学 facebook


このことを用いて創薬に挑む製薬企業も存在する。武田薬品工業は、治癒した患者の血液を原材料に新型コロナウイルス特異的抗体を濃縮して作るポリクローナル抗体(TAK-888)の開発に着手しているし、米アムジェンはバイオベンチャーのアダプティブ社と、仏イーライ・リリー社はアブセラ社と組んで血液製剤の開発に取り組んでいる。製薬業界が抗体などの免疫を如何に重視しているかがお分かり頂けるだろう。


このような状況を受けて、抗体を免疫の指標とする検査法の開発に取り組む企業が現れた。一部は既に実用化されている。


クラボウは中国の提携先企業が開発したイムノクロマト法を用いた抗体検査を3月16日から発売している。これはクリニックでも実施できる簡便な検査で、約10μLの少量の血液を添加するだけで、15分ほどで結果がわかる。



▲写真 新型コロナウイルス抗体検査試薬キット 出典: クラボウ ホームページ


PCR法の場合、測定には高額な測定機器と、4-6時間程度の検査時間を要するのと対照的だ。簡便な検査である。


クラボウの検査キットで検出するのは、IgGとIgMという2種類の抗体の有無だ。IgMは感染早期から、IgGは感染から数週間後以降に陽性になると考えられている抗体だ。IgGが陽性の場合には、すでに患者は治癒しており、免疫を有すると判断される。


冒頭にご紹介した堀江貴文氏が受けたのは、この検査だ。中国では臨床現場で既に活用され、新型コロナウイルスの標準診断法としてガイドラインに記載されている。


クラボウ製の検査キットの価格は10検体分で税別2万5,000円だ。多くの医療機関が導入している。健康保険は効かないため、自費診療となるが、その費用は5,000~1万円程度だ。


ただ、このキットは、まだまだ改善の余地がありそうだ。検出力(感度)は約95%とされているが、「額面通りには受け取れない」という専門家もいる。


パンデミック後、いち早く臨床現場に導入したという点で高く評価できるが、いまだ開発途上と言わざるを得ない。


現在、国内外の多くの企業が抗体検査の開発・販売に取り組んでいる。国内ではデンカ生研が、国立感染症研究所と共同で開発を進めているし、米BD社は、米国で検査キットの出荷を開始した。このキットは米審査当局(FDA)の審査を経ていないが、3月16日に発表された緊急事態方針の下で出荷し、使用することが可能となっている。


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