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PCR検査増やせば感染者減る?

Japan In-depth / 2020年5月2日 11時1分

なにせ、今回相手にするのは、未知のウイルスである。わからないことが多すぎる。学者、もしくは専門家と称する人らが、毎日自説を展開している。何が正しくて何が正しくないのかなど、誰にもわからないのに、テレビで彼らが断定的に話したり、憶測を述べたり、司会が結論を誘導したりしてしまう。これは一歩間違えば印象操作ともいえるもので、日本のテレビの悪弊だと私は思っている。


とりわけ、地上波テレビは影響力が強大だ。情弱な人は洗脳されやすい。残念なことに、世間で「・・・らしいよ」とか、「・・・なんだって」と断定的に語られる言説のネタ元が、実はワイドショーだったりするのだ。


その怖さがわかるがゆえに、局のコメンテーターは中立的な物言いを心がける。いや、そうすべきだと私は思っている。筆者は取材もしていないアナウンサーや専門家でもないタレントもどきのコメンテーターが断定口調でコメントする危うさにずっと警鐘を鳴らし続けている。単なる演出のノリでコメントなどすべきではないのだ。世論をミスリードしないために、それは最低限必要なことだと思っている。


 


■ PCR検査


さて、筆者がずっと気になっているのが、検査の問題だ。


世の中は、「PCR検査増やせ派」と「検査増やしても大して意味ない派」、真っ二つに分かれている。いや、どちらかというと、新聞、タブロイド、テレビは「検査増やせ派」が大半ではないか?


それぞれに言い分がある。


「検査増やせ派」は、PCR検査(注1)が少ないから感染者数が少ない。もっと検査しないと、感染の広がりがわからない。と主張する。


一方、「検査増やしても大して意味ない派」は、PCR検査そのものの感度が低い中(注2)、検査数をやみくもに増やすと医療崩壊につながるので得策ではない、と主張する。



▲図 PCR法検査の原理 出典:大阪大学微生物病研究所


実は、メディアの報道ぶりについては、医療従事者がネット上で活発に意見交換をしている。そのやりとりを丁寧に見ていると、メディアの報道ぶりと、医療界の意見がかなり乖離している事に気づく。メディアの報道だけを見ていると圧倒的に「検査増やせ派」、すなわち日本のPCR検査数の少なさを問題視する意見が多いのだ。しかし、ウェブ上ではそれに異を唱える医療従事者が少なからずいる。これはどういうことか。筆者は当初から違和感を感じていた。


そもそもテレビは先に述べたように放送法がある以上、両論併記すべきだし、どちらかの立場を支持するにしても、その根拠を示すべきだ。今回の場合だと、PCR検査と感染者数や致死率などとの相関関係をきちんと示さねばならない。もし自分たちでできないのなら、それこそ専門の医師か学者に頼めばいい。


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