防衛大臣囲み取材は「三密」
Japan In-depth / 2020年5月2日 23時0分
その一民間任意団体は当局から経済的な利益許与がなされている。記者会見室、記者室などが無料、あるいはただ同然で提供されている。
防衛省でその他に記者クラブ担当の連絡官が2名専属でいる。彼女たちの人件費も防衛省が負担している。筆者は連絡官の職務や待遇、人件費などについて昨年2月に広報課に質問を出したが長期黙殺されたので、その後何度も大臣会見で督促し、この2月には末富広報課長と面会し、課長は回答を確約した。だが未だに回答はない。記者クラブに不利益となる回答はしないのだろう。
筆者は外国専門誌の記者の肩書で外務省のプレスパスをもっているために会見に参加しているが、基本的にフリーランスである。一昨年末に防衛記者クラブは、フリーランスにも会見参加を認めたが、防衛省はセキュリティ上問題があるとして許可をださなかった。このため筆者は寺澤有、三宅勝久両氏とともに防衛省にこの件に関して面会を求めたが、黙殺された。
その後何度も河野大臣の会見でもこの問題を追求したが、機密の多いA棟にフリーランスの記者を入れる手はずが整っていないと繰り返すばかりだ。防衛記者クラブがフリーランスの会見参加を認めてから1年4ヶ月が過ぎたが、未だにフリーランスの参加がいつからになるのか防衛省は明らかにしていない。
▲写真 防衛省の中枢が集まるA棟 出典:著者撮影
恐らくは防衛省に厳しい質問をするフリーランスの記者の参加を防止したい防衛省と、記者クラブの取材機会を独占し利権を維持したいという防衛省と記者クラブの利益が一致しているので無期限に引き延ばそうとしているではないだろうか。
実際に筆者はフリーランスだが、記者会見に参加している。このような見本があるのに、フリーランスの会見参加がいつになるのか分かりません、と強弁するのは入れる気がないのだろう。
防衛省と記者クラブの癒着は他にもある。大臣外遊の際の同行取材の交通費を報道室員に個人的に肩代わりさせている。防衛記者クラブの書類に以下のように書かれている。
「現在は大臣外遊に伴う現地作り上げバス代等の『外遊』について報道職員『個人』に立て替えていただいていますが、その額は数十万円単位で、報道室員の大きな負担となっています。これを、記者会にて立て替え、各社から記者会に入金いただく形に是正するためにも、預金残高の改善が必要です(「防衛記者会の財政改革について」)」
筆者は本年2月28日に開かれた河野太郎防衛大臣の定例記者会見でこのことを大臣にただしたが、大臣も「それはいかがなものかと思います」と返答している。
更に同じ書類によると各幕僚監部との記者懇談会でビール券の支出がされている。各幕僚監部にビール券を配っているのか、酒を飲んで取材をしているか不明だが、どちらにしても問題だ。この件に関して筆者は3月2日に防衛記者クラブに取材を申し込んだ。「会員各社と相談する」ということだったが、いまだに連絡がない。都合の悪いことには取材に応じたくないだろう。
このような記者クラブと官庁の癒着は国民の知る権利と報道による権力の監視を妨害し、官庁の危機管理能力まで奪っているのだ。このような形で国民の知る権利を阻害している国は民主国家の要件を満たしていない。
トップ写真:大臣会見 出典:著者撮影
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