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PCR検査増やせ大合唱の謎

Japan In-depth / 2020年5月9日 2時10分

致死率=死亡症例数/感染症例数だが、確かに分子(死亡症例数)が変わらなければ、分母(感染症例数)が増えれば増えるほど致死率は小さくなる。しかし、死亡者数は時系列的に増えていくので、この問いは意味が無い。そもそもPCR検査の精度は70%以下と言われており、正確に陽性の人の数を把握出来ないという問題がある。現時点の致死率をもって議論しても意味は無い。


一方、この問いに対し、本庶氏は「そのとおり。ただこれから重症者が増える可能性はあります。10%が感染しているようなら致死率は低くなる。すると感染しようがしまいが気にせず、重症者の治療へフォーカスをあてるという戦略に切り替える必要がある。」と述べている。


「市中感染率」については前回の記事に書いたが、現時点で正確な数字はない。約6%という数字が一人歩きしているが、根拠があるわけでもない。今現在、10%感染しているなら確かに致死率は下がるかも知れないが、日本はもともと重症者の治療にフォーカスしているわけだから、「戦略を切り替える」必要はないことになる。


PCR検査に医療リソースをより多く割くと、何故重症者治療が手厚くなるのか、説明してもらいたい。しかし、番組では誰もそれを指摘しなかったようだ。



▲写真 米ニューヨーク市のJavits New York Medical Stationでのコロナウイルス抗体検査 2020年4月29日 出典:Photo By: Army Pfc. Genesis Miranda


■ 「国民全員にPCR検査を」


そして、5月7日朝のテレビ朝日系列の「羽鳥慎一モーニングショー」を見ていたら、WHO事務局上級顧問で英国キングスカレッジ・ロンドン教授の渋谷健司氏が「極端な意見かも知れないが」と前置きしつつも、「国民全員にPCR検査を」と提唱していた。


国民全員にPCR検査を実施するだけの医療リソースは日本に無いだろうし、現実的では無い。それに、本庶氏が提唱するように大学の研究室で検査をするなどということも現実的では無い気がする。検体を色々な場所に運んだり、専門で無い人が検査することは、むしろ感染リスクを上げるような気がするのだが、間違いだろうか?


少なくとも今の日本の現状を見ると、新型コロナウイルス感染症による死亡者数は557名(2020年5月8日厚労省発表)で、欧米諸国と比べると圧倒的に少ない。



▲図 入退院等の状況(括弧内は前日からの変化)※今までに重症から軽~中等症へ改善した者は81(+4)名


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