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PCR検査増やせ大合唱の謎

Japan In-depth / 2020年5月9日 2時10分

※4 退院した者のうち2,196名、死亡者のうち154名については、個々の陽性者との突合作業中。


当該人数を表中の数値に含むため、入退院等の状況の合計とPCR検査陽性者数は一致しない。出典:厚労省5月8日公表分


 


検査を増やすことが、死亡者数を減らすことに繋がるというならそのわけを知りたいと思うのは筆者だけだろうか?



▲図 新型コロナウイルス死亡者数の分析 出典:厚労省(新型コロナウイルス感染症対策専門家会議資料 2020年5月4日)


話は戻り本庶氏は、PCR検査の目的について、「厚労省の目的は私の考えと初めから違うと思う。私は当初から、戦況を見極めるためという目的で使うべきだという主張です。」とも述べている。


日本は「戦況を見極める」事が出来ていないのだろうか?下図は、名古屋市立大学大学院医学研究科教授で、疫学が専門の鈴木貞夫氏が作成したもの。国別の人口100万人あたりの新型コロナウイルス感染症の感染者率と死亡率だ。これを見ると一目瞭然で、日本と韓国は他国に比べ、ダントツに低い。韓国と日本のPCR検査数の差をあげて、日本も韓国のように増やせ!と言っている人は、検査が少なくても結果はあまり変わらないことに対してどう思うのだろうか?



▲図 Ⓒ鈴木貞夫教授



▲図 Ⓒ鈴木貞夫教授


鈴木教授は、日本が感染者数を低く押さえ込めている理由を、「クラスターを片っ端からつぶして、クラスターで対応できる期間を伸ばしたこと、次のフェイズは、自粛で乗り切ると決めたこと」ではないか、と述べている。


クラスターつぶしとは、以下の図にあるように、クラスターを発見したら、感染源・感染経路を探索し、感染拡大防止対策を実施するという地道な対策のことを言う。



▲図 クラスター対策による感染拡大対策 出典:厚労省


その上で鈴木教授は、「人口あたりの率で,感染も死亡も(欧米諸国の)100分の一に抑えているのだから,誰が何と言っても『成功』だ」とした上で、「実際に今回の新型コロナ流行にPCR検査がどのくらい有効に役立っているのか,絶対値としてどのくらいの死亡減少に貢献できたか,また,ひとり救うためにいくらかかったのか」を学問的に算出してもらいたい、と述べている。


私もそう思う。メディアがこうした事実を評価せず、「検査を増やせ」と連呼することが不思議でならない。PCR検査が目的化してしまっている。「クラスターつぶし」から「強制力の無い自粛」という日本式の対策を取ってここまで来て、今からPCR検査を「全国民」を対象に行う意味がどこにあるのか、私にはわからない。その費用は誰が負担するのか、という話もある。


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