NYでも暴動 黒人死亡事件
Japan In-depth / 2020年6月1日 13時52分
柏原雅弘(ニューヨーク在住フリービデオグラファー)
【まとめ】
・米、黒人差別による事件が多発し、各地で暴動が発生。
・過去にも黒人差別に端を発した大規模な暴動が幾つかあった。
・暴動などの背景には高い失業率や不況による生活不安が根底にある。
アメリカで新型コロナの次に、話題になっている話といえば、各地で起きている黒人差別、と捉えられる数々の事件と、暴動である。
今年2月に、ジョージア州でジョギングをしていた黒人青年が、「強盗事件から逃げる途中の犯人と思い込んだ」と主張する白人親子に射殺された事件があった。白人親子はその主張だけで釈放されたが、その後、事件を撮影した動画で、青年を射殺した動機が黒人であった、という理由だったらしいことが分かり、2人は5月7日に逮捕されるに至った。事件そのものが人種差別に基づくものであったことに加え、白人の犯人に対して積極的に捜査を行わなかった捜査当局の対応が人種差別的、という批判も全米に広がった。
先週25日にはニューヨーク・セントラルパークでバードウォッチングをしていた黒人男性が、散歩紐をつながず犬を散歩させていた白人女性を注意したところ、女性は携帯電話で「アフリカ系アメリカ人が私と私の犬を脅している」と警察に通報、その模様を撮影した動画が拡散し騒ぎとなった。
そして同じく25日。
ミネソタ州ミネアポリスで偽札使用の容疑をかけられた黒人男性が警察に身柄を拘束される際に、警官が膝で男性の頸部を8分間以上圧迫した末、男性が死亡する、という事件が起きた。
本人が「息が出来ない。どうかどいて下さい」と懇願しているにもかかわらず、警官は両ポケットに手を突っ込み、得意げになっている、とも見える動画が拡散。加えて現場対応にあたった白人警官4人が免職されただけで、逮捕にまで至らなかったことで市民の怒りが爆発。大規模な暴動事件に発展してしまった。
その後暴動は収まらず、全米各地に飛び火。
ニューヨークでも、ブルックリンのバークレーセンター前などで起きた抗議運動が暴動に発展、今日までに550人が逮捕される事態になった。
これには心底驚いた。
抗議活動はさらに規模を大きくして今日も続いている。
全米に飛び火するようなデモがニューヨークで起きた時でもここでは常に行動は平和的でありつづけて来た。それがニューヨークが誇ってきた理性であり、誇ることができるものであった。何回も取材に出かけた大規模なデモや抗議運動でも、近年は暴動などにまで発展することはなかったと記憶する。
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