バヌアツで性のタブーに挑む
Japan In-depth / 2020年6月6日 18時15分
相川梨絵(フリーアナウンサー・バヌアツ共和国親善大使)
「相川梨絵のバヌアツ・ニュース」
【まとめ】
・女性の為の団体「MAMA’s Leaf Vanuatu」、バヌアツのタブーに挑む。
・生理用品中心とした布製品の制作や、正しい性教育に力を入れている。
・ECOでもあり評価されているが、継続的な活動資金の確保が課題。
絶対的な権限をもっているチーフが各村を納めているバヌアツ共和国。その影響か、男尊女卑の考えがいまだに根強い国でもあります。家庭内暴力は普通の事。女性が殴られて、顔にあざを作っていても、誰も驚かない。それくらい、日常的になってしまっています。
そんなバヌアツでも、昨今、女性の尊厳を守ろうとした動きが外国人を中心に起きています。その一つ、バヌアツ人ママさんたちによるバヌアツ人女性のための団体をご紹介します。その名は「MAMA’s Leaf Vanuatu」(バヌアツの言葉でママたちの暮らしの意味)
10名弱のバヌアツ人ママたちとそれを支える数人で構成されている団体です。
彼女らは、洗濯ができて何度も使える生理用の布ナプキンをメインに、布おむつ、布製母乳パッドなどを制作しています。
▲写真 布おむつ(筆者提供)
この団体の興味深いところは、事業者登録をしているにも関わらず、店舗をもち商売をしている訳ではないこと。彼らはNGO団体や政府から発注を受けてから、制作に取り掛かり、まとまった量をバヌアツ国内の僻地や災害のあった場所へ提供しています。
彼らの目的は、その名の通り、バヌアツのママ(女性)の人生を豊かにすること。特に災害時や、離島の奥地では、女性が軽視される傾向にあります。生理などの性的なものをオープンにすることはタブーとされ、今まで、ケア―されることはありませんでした。使い捨ての紙ナプキンが手に入らない地域では、女性たちは、生理の時は家にこもり、使えなくなった布などをあてがってしのいでいます。同じ苦労を知っているバヌアツ人ママさんたちだからこそ、そのタブーに挑んているのです。
▲写真 布ナプキン(筆者提供)
「MAMA’s Leaf Vanuatu」の始まりは、2015年。この年、巨大サイクロンPAMがバヌアツを襲いました。首都のあるエファテ島を中心にその被害は甚大なものでした。
世界中から、義援金や救援物資が届きました。木材、食料、寝具。しかし、衛生用品、特に女性の生理用品はありませんでした。
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