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仏版ジョージ・フロイド事件とは

Japan In-depth / 2020年6月8日 18時0分

アダマ・トラオレさんの事件は、2016年7月19日夜に起こった。公式に発表された内容によれば、アダマ・トラオレさんは身分証を携行していなかったために職務質問の際に逃亡したが、身柄を拘束され手錠をかけられたのち警察署に移送される車内で意識を失った。警察署内に運ばれ、救急隊が治療を試みたが、トラオレさんの意識は戻らなかったという。警察は検視の結果、アダマ・トラオレさんが死亡時に重症感染症だったと発表。トラオレさんの感染症について「非常に重篤」で「複数の臓器に影響が及んでいた」ことが影響したとし、体にはいくつか暴行の跡が認められたものの、「著しい暴行を示すもの」ではないと結論付けた。


しかし、その後の調査によると、警察官らに行った調査の記録には取り押さえる時にアダマ・トラオレさんの体の上に3人の体の重みがかかっていたと記載されており、この時アダマ・トラオレさんは「息ができない」ともらしたという。3人に圧迫された状態で拘束され手錠をかけられたアダマ・トラオレさんは、なんとか一人で立ちあがったものの、その様子は困難そうであり、車にのって3~4分ほど移動したが車内ではすでに頭を前に倒し意識を失っていた。


意識を失ったアダマ・トラオレさんは警察署に運びこまれ、床に寝かされた。警察の証言では、横向き寝である安全な体勢の回復体位に寝かしたが、床に寝かされたまま嘔吐し、この時に車内で失禁していたことも分かった。それでもその時にはまだ息があったという。そこでなんらかの異常を察した警官により、17時46分に救急隊が呼ばれ、救急隊は18時少し前に到着。すぐさま最初の救命処置を実行し始めたが、その際、すでに呼吸していないことが確認された。その後救急車が呼ばれ1時間ほど心臓マッサージなどの救命処置が行われたものの、その手当のかいもなく19時5分に亡くなったのだ。死因は病死とされた。しかしながら、この2時間の間に何かがおきたのだ。家族はそう信じて疑わなかった。


家族やその友人たちは、アダマさんが完全な健康体だったと口々に語っている。検視の結果にまったく納得がいかなかった家族は専門家に頼んで診断してもらったところ、アダマさんは病気ではなく「窒息死」だと断定され、真実は、警察の発表とは異なることを確信した。しかし、警察側も再度診断した結果、再び病死であると発表し家族側の主張を否定している。


だが、事件から2カ月後に最初に到着した救急隊の証言が明らかになり、また状況が一変する。なんと救急隊が到着したときには、警察側が主張する安全な体勢である回復体位には寝かされてはいなかったというのだ。手錠をされたまま、うつぶせにされていたのだ。家族側の訴えは続く。訴えるためのデモも行ってきた。その結果、2020年5月20日に検察側がさらに死因の確認が行われることになったが、またもや以前と同様に病死と判断された。家族側もさらにセカンドオピニオンの専門家診断を依頼した。その診断結果では、「うつぶせにされていたことによる窒息死」であるとされたのだ。


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