仏版ジョージ・フロイド事件とは
Japan In-depth / 2020年6月8日 18時0分
そこで、6月2日に「アダマのための正義を訴える」デモを開催。「息ができない」と拘束時もらしたとされるアダマ・トラオレさんの言葉を掲げ、真実が知りたいと訴える。この日は少なくとも2万人が集まりパリ市内北東部の裁判所前に集結する大規模なものとなった。デモでは、ジョージ・フロイド事件がちょうど起こった後ということもあり、アメリカの事件に重ね警察の暴力、人種差別による警察の不当な扱いに対する抗議も行われた。そして、そこで盛り上がった熱気は6日のデモにも継続されていったのだ。
■ フランスの反応
ここで興味深いのは、2日にアダマ・トラオレさんの家族が中心になって「アダマ・トラオレの追悼デモ」が行われた時点では、多くの論調がこのデモに否定的で、しかもこの事件は人種差別とは関係ないものであるという意見が多かったことだ。
まず、パリ警視庁のトップは、警察では人種差別は行われてないと断固として否定。セネガルで生まれ、2016年にフランスの国籍を取得し、現在政府のスポークスマンとして活躍しているシベット・ンディアイ氏も、2日のアダマ・トラレオさんの追悼デモの翌日に、「フランスには制度化された人種差別はありません」と明言している。
▲写真 シベット・ンディアイ政府報道官 出典:在日フランス大使館
テレビで行われる議論でも、「アダマ・トラレオさんの事件は、人種差別ではない」とするコメンテーターがほとんどであり、最初はニュースでも「人種差別に抗議するためのデモ」とはせず、「警察による暴力に抗議するデモ」と題されている記事がほとんどだったのだ。
実際フランスでは長いあいだ、「フランスには人種差別はない」と言われることが多く、こういった事件があれば今回のように「警察による暴力」というような別の理由が割り当てられ、「人種差別」という事実がかき消されることが多々あったのは事実だ。
アフリカ系フランス人の女性ジャーナリスト、ロカイヤ・ディアロ氏は、出演したラジオ番組でフランスにはフランス独自の人種差別の歴史があることを語った際、番組内で人種差別ではないと否定されたことについて、自身のインスタグラムにこのように書いている。「不正が明らかな警察官の暴力を通して表面化したとしても、フランスでは制度化された人種差別の存在を認めさせるのはとても困難です。私はそれを試みましたが、議論はあっという間に白熱してしまいました」。
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