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90式戦車の有効活用考えよ

Japan In-depth / 2020年6月10日 12時33分

現在の防衛大綱では戦車の定数が300輌とされており、これをすべて10式にするならば300輌に教育所要を含めて、90式同様に340車輌が必要となる。予算総額は4500億円ほどになる。10式が計画された時点では戦車の定数はその二倍以上だ。そのような膨大な予算をかけて新型戦車を調達する必要は低かったはずだ。


そのような冗費があるならば他の分野に投資すべきだった。陸自はネットワーク化やドローン、精密誘導弾などの導入は遅れており、途上国以下のレベルだ。しかも戦車と行動する89式装甲戦闘車は70両もなく、第7師団の所要数も満たしておらず、その後継計画が明らかにされていない。戦車だけで戦争ができると思っているのであれば、そこいらにいる程度の低い戦車マニアと同じレベルで陸自の装備調達を行っているということだ。


戦車をすべて10式に更新するならば諸外国では充分に現役で通用する約340輌の90式戦車は不要になる。戦車は鋼鉄の塊なので解体処分するにもカネがかかる。であれば武器輸出のスキームを変更して安くてもいいから輸出する、あるいはモスボール保存すべきで、そのような仕組みをつくるべきだ。


それが出来ないならば他の目的に転用するべきだ。諸外国では旧式化した装備を改造して別の目的に転用することは珍しくはない。例えばイスラエルのナメルのような重装甲APC、あるはロシアのBMP-Tターミネーターのような重火力の火力支援車などに転用できるだろう。ナメルはメルカバ4戦車の派生型であり、重防御のAPC(装甲兵員輸送車)だ。イスラエルは過去鹵獲した敵戦車や旧式化した戦車をこのような重APCや他の用途に転用してきた。



▲写真 BMPT 出典:著者撮影


ヨルダンの国営工廠であるKADDBも、余剰となった旧式戦車センチュリオンを改造した重APC(装甲兵員輸送車)アル・ダウザを開発している。前方に横開の油圧式の観音式のランプドアが残され、下車歩兵はこれを使って昇降する。車体上部の装甲を取り去り、車体を上方に延長している。戦闘重量は40トンでペイロードは10トン。パワーパックは一新され、エンジンはL-3コンバット・プロポーションの12気筒750馬力ディーゼルエンジン、AVDS 1790、トランスミッションにはアリソンのCD850-6Aオートマチックトランスミッションを採用している。



▲写真 ヨルダンのKADDBの重APC(装甲兵員輸送車)アル・ダウザ。余剰となった旧式戦車センチュリオンを改造したものだ 出典:著者撮影


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