国会で与党議員が中国論議
Japan In-depth / 2020年6月10日 23時30分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視」
【まとめ】
・有村議員が財政金融委員会で中国に関する議論を投げかけた。
・中国政府は近年、国連関連トップに自国出身者を据えようと画策。
・有村氏は「千人計画」へ懸念、習近平主席の国賓招聘に反対を表明。
日本にとっての中国の動向がますます重みを増してきた。コロナウイルスの感染しかり、中国の武装艦艇の尖閣領海への侵入しかり、である。だが日本の国会ではふしぎなほど中国について語らないという異様な現状についてこのコラムで書いた。
ところがきわめて珍しいとはいえ、日本の国会でも中国についての議論が展開されることがあるという事実を知った。しかもつい最近、質疑もかなり鋭い内容だった。公正を期すという意味もこめて、この中国論議を報告しておこう。もっと、もっと、という声援をこめながら、である。ごく短時間の論議だったからだ。
この中国論議は6月2日午前、参議院財政金融委員会で起きた。委員の1人の有村治子参議院議員(自民党)が中国に関する発言や質問をしたからだった。ただしこの質疑応答も全体で24分だったから、日本の国会での本格的な中国論議からはほど遠いといえよう。だが中国をテーマとする論議があったことは朗報だといえる。
有村議員は参議院全国区選出、当選4回というベテランに近い政治家である。すでに閣僚経験もあり、国際問題、外交政策に関してはこれまでも積極的な発言、提言をしてきた。
有村議員はこの委員会では冒頭発言でまずいま日本を襲う新型コロナウイルスについて明確にその発生を中国に結びつけて言明した。
「いままさに世界を震憾させている新型コロナウイルス禍は、社会が抱える諸問題をあぶり出し、構造的な変化を加速させます。その主たる課題の一つが、発生源、感染症の発生源である中国がどのような言動をするのか、また、日本や世界が大国・中国とどのように向き合うべきなのかという構造的問題であります」
コロナウイルスが中国の武漢で発生したことは世界の常識だといえる。だが日本の国政の場ではその簡明な事実がなかなかストレートには語られない。一部のメディアも同様である。中国への忖度だろう。だが有村議員はこの点、淡々と世界の常識を述べていった。
有村議員はそのうえでオーストラリア政府がコロナウイルスの発生の実態を調査することを提案して、中国政府から激しい反発を受けていることを報告し、世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長が中国寄りの言動をとりすぎて非難されたことを伝えた。
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