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イージス・アショア整備の矛盾

Japan In-depth / 2020年6月23日 23時0分

イージス・アショアにはこの整備主旨と整備計画の矛盾があったのだ。それにより性能水準、周辺対策、優先度の3つを誤り、ついに頓挫したのである。


 


■ 過剰性能の追及


まずは性能水準の誤りである。防衛省は整備趣旨を理解せずに完璧な迎撃体制の確立を目指してしまった。


本来ならば性能は最低限でよかった。既存型のアショアを購入し迎撃ミサイルを装填する。そうすれば国民は安心感を得られたのだ。


だが、完全迎撃を目指したため価格と完成時期が問題化した。


価格高騰は当然であった。本来ならば800億円で済む整備が4000億円に達したのだ。まず高性能に目がくらみ実物もない新型レーダLMSSRを選んだ。結果、単価は800億円から2000億円に膨らんだ。しかも本気で日本全土をカバーしようと秋田と山口の2ヶ所の整備を進めた。そのため予算は倍の4000億円に達したのである。


しかも完成時期も読めなくなった。レーダがなければアショアは作れない。それにも関わらず一番納期が読めないLMSSRを選定したためである。


 


■ 周辺対策の省略


また周辺対策の失敗も整備主旨を理解しなかった結果だ。


イージス・アショアはそれほど急ぐ武器ではない。もともと本気で作る必要はない。しかも工期工程を決定するレーダー納入の遅延もわかっていた。


それにも関わらず設置場所の決定を急いでしまった。


これも実際の迎撃体制確立を最優先した結果である。アショア予算化のために場所選定を焦ってしまったのだ。


この拙速かつ粗雑な用地選定が反発を招いた。設定基準の明示も候補地間の比較対象もされなかった。「なぜ秋田か、山口か」が不明瞭なのだ。


また、担当部署の選択も誤った。アショアは陸自担当とされた。だが、陸自は一品物の整備や短い準備期間の施設整備は苦手である。また迷惑施設につきものの周辺対策もあまり得意ではない。(*1)つまり一番向いていない組織に割り振ったのである。


グーグル・アース問題や居眠り問題にもその影響がある。工事を担当する防衛局の仕事はポカが多い。(*2)しかし陸自は「責任範囲外である」と局を信用する傾向にある。本来は回避できたかもしれない失敗を見逃してしまった。そうとも見えるのである。


 


■ 防衛正面の誤り


さらに言えば優先度の誤りもある。整備主旨の見誤りにより中国対策よりも優先度の低い北朝鮮対策にはまり込んでしまったのだ。


日本安全保障の焦点はどこか?


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