イージス・アショア整備の矛盾
Japan In-depth / 2020年6月23日 23時0分
中国である。中国軍事力の成長と日中関係の不安定が最大の課題だ。中国は日本および日本近海に影響を及ぼす力を持っている。日本はそれを抑え込むことは困難である。
つまり北朝鮮ではない。日本や日本交易路に北朝鮮は何の悪さもできない。しかも日本はそれを容易に抑え込める程度の敵国である。その核と弾道弾も張り子の虎である。使えば報復で北朝鮮の体制が滅んでしまう。
それにも関わらず防衛省はアショアに入れあげた。そして泥沼化で防衛行政の足を引っ張られる事態が生じた。対中関連の施策に集中できない事態に至ったのである。中止は当然の結果である。
▲写真 結局の所、日本安全保障にとって北朝鮮の優先度は低い。しかも北朝鮮にとっても日本の優先度も低い。その北朝鮮対策に過ぎないアショア整備により防衛行政が拘束され中国対策の足を引っ張るようでは本末転倒である。写真は進水する山東艦、中華人民共和国国防部「我国第二艘航空母艦下水儀式26日上午挙行」より。(撮影:馮凱旋)
■ 整備主旨と整備目的の矛盾
イージス・アショアの原因は以上のとおりである。政府はその主旨を明確にせず方向性と路線も提示しなかった。そのため整備主旨と整備目的に矛盾を生じた。この矛盾を放置した結果、計画いきづまり失敗したのである。
*1 陸自は周辺対策を所掌する職域や特技を作っていない。そのため無理解な隊員が配置されることがある。海空の専門職域では入会権や騒音問題は「尤もな主張である」と理解されている。だが陸自の場合はそれを認識しないライト・イズ・ライトの幹部が配置されることもある。
*2 建設工事を担当する防衛局調達部は少人数で多数の案件を担当する。ミスも多く管理職もチェックしきれない。だから海空自は派遣した自衛官や担当部局が常時逐一をチェックする。だが、陸自は組織文化からバウンダリーと呼ばれる担当範囲や責任範囲の外は信用しきってチェックしない傾向がある。そのためとてつもないミスがそのままとなる。
トップ写真:イージス・アショアには高性能を求める必要はなかった。それからすればレーダも既存のSPY-1レーダでよかった。だが電波発振部に真空管が残っており交換間隔も短い。それが嫌がられたのだろう。写真は除染中の「きりしま」の艦橋部分、六角形のレーダがSPY-1である。 出典:海上自衛隊HP「装備品」「フォトギャラリー」より入手。
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