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中国に及び腰の大手紙社説

Japan In-depth / 2020年7月7日 23時0分

中国に及び腰の大手紙社説


宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)


「宮家邦彦の外交・安保カレンダー【速報版】 2020#28」


2020年7月6-12日


【まとめ】


・中国共産党の意に反すると拘束、訴追できる国家安全維持法施行。


・新法は昨年11月の区議選で民主派が圧勝した後から動き出した。


・香港情勢についての日本大手新聞各社の反応はそれぞれ。


 


遂に来るべきものが来た。6月30日夜23時に北京で制定された国家安全維持法が、深夜の香港で即日施行されたのだ。新法の詳細は既に報じられており、ここでは繰り返さない。簡単に言えば、中国共産党が気に入らないと思ったら、香港人であれ外国人であれ、誰でも何らかの罪状で拘束、訴追できる「魔法の法律」らしいのだ。


では何故このタイミングなのか。香港関連の過去一年間の本コラムを読み返して分かったことがある。それは昨年11月区議選で民主派が圧勝した後、北京と香港政府が一種の「沈黙」を始めたことだ。その後今年5月に新法制定の動きが急浮上する。コロナ騒ぎもあったが、昨年の選挙結果を見て、北京は腹を決めたに違いない。


改めて、香港関連の記述を振り返ってみよう。


 ・2019年7月22日号 香港で7週間続く大規模デモにつき、「治安当局が鎮圧する最善の環境は、非暴力を掲げていた活動が過激化し、流血の事態に発展して、民衆の支持が失われること。今こそデモ参加者たちが最大限の自制を示すべき時ではなかろうか。」と筆者は書いた。ところが、実際には一部学生が更に過激化していく。


 ・8月19日号 中国の介入につき、「中華人民共和国の香港に対する権威が決定的に害されれば、中国は必ず介入すると筆者は思う。言い換えれば、中国共産党の統治の正統性が害されれば中国は容赦しない、というか、嫌でも徹底的に弾圧せざるを得ない、というのが実態に近い。」と筆者は書いている。


 ・9月2日号 無謀にも筆者は香港に出張し、香港のデモと、1960年代、70年代の日本の学生運動との違いを痛感する。「当時の東京に比べれば、今の香港のデモはまだまだ非暴力的だ。他方、当時の日本の学生運動の参加者には今の香港の若者のような本当の危機感、切迫感はなかったと思う。香港の若者は真剣そのもの、日本の甘っちょろい学生運動とは全く異なるのだなぁと実感した。」と書いている。


 ・9月16日号 「信頼する現地関係者は一つの『終わりの始まり』が始まっていると見ている。なるほど、ここら辺が『当たらずとも遠からず』かもしれない。」と書いた。振り返ってみれば、どうやらこの頃から潮目が変わり始めたように思える。


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