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黒人殺害事件と米独立記念日

Japan In-depth / 2020年7月9日 11時19分

独立記念日当日はフィナーレとの謳い文句で、エンパイアステートビルから花火が打ち上げられたが、人がいる市街での打ち上げであったため、大規模なものではなかったものの「エンパイアの花火」にふさわしい華やかな花火であった。


だがそれらの祝賀ムードに水を差すように、ニューヨークではその夜から銃による犯罪が多発、短時間に42件もの人々が銃撃を受け、9人以上が死亡した。


新型コロナの影響で、今年のNYの犯罪率は昨年までと比べ、4月には30%近くの減少という歴史的な変化を見せた。だが、銃犯罪に特化してみると、6月は昨年比で130%の増加(205件)、独立記念日直前までの半月に限ってみると、なんと200%以上も増加(116件)した。銃犯罪が最悪だった1996年の水準であるという。


警官によるミネアポリスの黒人殺害事件以降、この1ヶ月で社会は大きく変化した。


BLM運動に始まる人種差別反対のデモ行進や集会は、社会に蔓延する、他の差別や不公平をあぶり出し、その後、ニューヨークでは主に、過度に暴力的とされる警察の予算削減と改革を求める若者を中心としたグループが市庁舎前広場で「オキュパイ・シティーホール(市庁舎を占拠せよ。現在は「アボリッシュ(警察撤廃)・パーク」と名称変更)」のスローガンとともに座り込みを続けている。



▲写真 市庁舎前広場を占拠する人々 出典:著者撮影


先日、市庁舎前の、その座り込みの現場を通りかかって驚愕した。


テレビで見る以上に、現場は荒廃しているように見え、愕然とした。


市庁舎や、向かい合う裁判所に描かれた大きな落書きやペンキで描かれたスローガンはここまでやっていいものかと思うほど凄まじい。平和的な集会ではあるが、公共の建物に書き殴られたペイントからは平和の文言がかすれて見える。



▲写真 市庁舎前広場 出典:著者撮影


一連の行動のきっかけとなったデモ行進は、初期には暴動に発展するなどして、一般の店舗が破壊、襲撃された。さらに破壊されることを恐れた商業施設などは建築用の合板で店舗のウィンドウを覆うなどして自衛手段を講じた。結果、見渡す限り、通り沿いのほぼ全てが板で覆い尽くされたその風景は異様であった。


だが、これを見てひらめいた人たちがいる。


アーティストたちだ。


アーティストたちは店を覆い尽くしてしまった板張りの通りをキャンバスに見立て、その昔、アーティストの街であったSOHOでは彼らが、ストリートをアートギャラリーに変えてしまった。


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