バンコクで学生ら反政府デモ
Japan In-depth / 2020年7月21日 1時32分
大塚智彦(フリージャーナリスト)
「大塚智彦の東南アジア万華鏡」
【まとめ】
・タイバンコクで、学生団体らによる反政府デモが行われた。
・プラユット現政権の退陣、国会解散、憲法改正などを求めた。
・現政権にとっては「対応を誤る」と政局に発展する可能性も。
タイの首都バンコクの中心部で7月18日、プラユット現政権の退陣、国会解散、憲法改正などを求める学生団体や若者組織による反政府デモが行われた。参加したのは約1000人と最近では大人数の反政府デモとなったが、現地からの情報によるとデモの中で一部群衆がタイではタブーとされる「王室批判」を展開したことから同調するグループと離反する組織に分かれるなど複雑な展開となったという。
とはいえ著名なタイのモデルがデモ・集会への支持をインターネット上で表明するなど国民とくに若者の間で現政権に対する不満が渦巻いていることだけは間違いないといえそうだ。
地元紙「ザ・ネーション」やAFP通信などが伝えたところによると、18日午後8時ごろからバンコク中心部の民主記念塔周辺で始まったデモにはNGO組織の「自由若者運動」や「タイ学生連合」など複数の組織に人権活動家、大学関係者、弁護士などが参加、次々にステージに立ってプラユット政権の即時退陣をはじめとする各種要求を訴えた、参加者はプラカードなどを掲げて応えた。
スピーチでは特に現政権がコロナ感染拡大防止のために実施している外出制限などの各種規制を「民主的活動や人権運動の抑制、弾圧に利用している」などと批判、プラユット首相に対して「14日以内に要求への回答」を求めた。
▲写真 プラユット首相 出典:ロシア大統領府
■ クーデターで政権奪取し総選挙で勝利
タイは2014年に当時のインラック首相の民主政権がプラユット軍司令官率いる陸軍によるクーデターで転覆され、以後プラユット暫定首相による軍事政権が続いていた。2019年に実施された「民主選挙」でプラユット氏率いる「国民国家の力党」などの軍政派が過半数を制したことを受けて、「国民の信託を受けた」としてプラユット氏が正式に首相に就任、表向きは「民主政権」の看板を掲げながら軍政時代とあまり変わらない「強権政治」が続いていると学生団体や人権組織は批判している。
■ 許されない「王室批判」で意見対立
18日のデモと集会では一部の参加者が国王や王室への批判を許さない「不敬罪」の撤廃を求めたことから警戒に当たっていた警察が介入して関係者を連行しようとした。これには周辺の参加者も加わって連行は阻止したものの、王室批判とは一線を画す大多数の参加者との間で意見の相違が明らかになる場面もあったという。
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