ソウル前市長の死に繋がった?告訴情報漏洩の謎
Japan In-depth / 2020年7月23日 13時41分
写真)チュ・ホヨン院内代表 出典)Wikimedia Commons; Sonyguny
いかなる意図で情報が流されたのか?
情報の漏洩は、告訴人保護の観点から見ても重大な問題だが、死に追いやるために意図的に流されたとしたら、大変な謀略事件となる。死因については自殺とされているが、死因の詳細は、未だに発表されていない。遺体も解剖されないまま火葬されたようだ。警察は他殺の形跡はないとしているが、死因や足取りの詳細が発表されないので他殺説が出回っている。
警察は、朴前市長の足取り検証で、重要な手がかりとなる朴氏のスマートフォンについて、法的には遺族の許諾を得る必要はないにも関わらず、「朴市長の三虞祭(サムウジェ-葬儀が終わった3日目の祭祀―さいし)が終わった後、遺族と相談したい」とか、暗号で保護されているから解析に6ヶ月ほどかかるなどとしていた。だが批判が高まるや、重い腰を上げ、15日になってようやく分析を始めたという。しかし残り3つのスマートフォンに対しては、「情報漏えい問題」ではなく「死亡原因究明」を押収理由として令状請求を行ったために、裁判所から却下された。死因は明確だとの理由からだ。この令状請求のやり方については、情報漏えい捜査を意図的に避けたとの指摘がなされている。こうしたことから告訴情報を漏洩させた意図については謎のままだ。
背景にグリーンベルト解除をめぐる文大統領と朴前市長との対立?
告訴情報漏洩の背景には、ソウルの「グリーンベルト(市街化調整区域)解除」を巡って、現時点で解除反対の朴前市長と、解除して住宅供給とあらたな利権獲得を狙う文在寅大統領との間の激しい確執があったのではとの指摘がある。
文大統領はいま、新型コロナウィルス対策以外では、目玉の南北宥和政策をはじめとした全ての政策で行き詰まっている。最近の世論調査では、支持率が44%にまで暴落し、不支持率52%と逆転した。
写真)文大統領 出典)the Russian State Duma
この支持率暴落の大きな原因の一つが、アパート(マンション)価格の暴騰だ。文政権になってからアパート価格は50%以上も上昇した。そこで文政権は、ソウル市のグリーンベルト(市街地不可区域)を解除して、大規模開発で住宅供給を増やし支持基盤を拡大させると共に、利権獲得も狙うという一石二鳥を狙う政策を打ち出した。
しかし次期大統領を狙う朴前市長は、大統領出馬時の強力なカードにしようとしたのか、現時点でのグリーンベルト解除には絶対反対だった。朴前市長がいる限り、文政権の野望は実現しない状況となっていた。
こうした状況下で、朴前市長が死に至ったので、あまりにもタイミングがよすぎるのではとの憶測が広がったのだ。事実朴前市長が亡くなった直後から、グリーベルト解除の動きが急浮上している。しかし文大統領は、国民の目を恐れ、一旦打ち出したグリーンベルト解除を否定した。しかしグリーンベルト内の陸軍用地の開発については沈黙している。
トップ写真:朴元淳ソウル前市長 出典:Flickr; Republic of Korea
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