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中国共産党幹部著書「平安経」批判の訳

Japan In-depth / 2020年8月5日 22時57分

だが、賀電氏の『平安経』は、特定の神仏への祈りではない。賀氏は共産党員で、しかも宗教を取り締まる公安の幹部である。さらに、習近平国家主席が推進する「中国夢」「中華民族の偉大な復興」などの理想に沿った「中華文明平安」なる章まで設けており、党の方針への従順をアピールさえしている。米国など外国勢力との関係も認められない。


だが、心の平安に訴えかけている時点で、すでに共産党のモットーである唯物論的な世界観に反している。胡錦濤元国家主席も2006 年の全国統一戦線工作部の会議で、「われわれ中国共産党員は無神論者であり、いかなる宗教も信仰しない」という党の立場を力説している。事実、賀氏の著作の「経」という書名は、宗教を連想させないわけにはいかない


さらに、『平安経』の「アジア国家平安」の項にはご丁寧に、「日本平安」まで添えられているという。このような「博愛主義」は、中国が領土問題などで厳しい対日姿勢を明確にする中、相応しくなかろう。


賀電氏は何らかの処分を受けるだろう。ちなみに、宗教信仰を持つ党員への対処方法について党中央組織部は、「党の政策を実行し規律に従う党員」に対して教育措置をとると定めている。共産主義の信念がゆらぐ党員は「教育措置または離党」、共産主義の信念を喪失した党員には「教育措置または離党または除名」である。


賀氏は職務解任の際に涙を流したことから、党への忠誠は固いものと思われる。だが、新手のビジネスで私腹を肥やしただけでなく、「人民にとってすべてとなる」党の存在の根幹を疑似宗教書で脅かした罪は重い。


彼への処分は、「離党または除名」となるのではないか。


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