ハリス氏、女性初の米大統領になるか
Japan In-depth / 2020年8月13日 23時0分
岩田太郎(在米ジャーナリスト)
【まとめ】
・バイデン大統領候補が副大統領候補にハリス上院議員を指名。
・「病歴のデパート」バイデン氏に万一があれば大統領に昇格も。
・〝ハリス大統領〟なら対北政策変更も。氏の外交方針に注視を。
民主党のジョー・バイデン米大統領候補(77)は8月11日、自身の副大統領候補にカリフォルニア州選出のカマラ・ハリス米上院議員(55)を指名した。新型コロナウイルスの大流行により、すっかり影が薄くなっていた大統領選の本格始動を告げる出来事である。
しかし同時に、選挙戦におけるハリス氏の重要性はさほど高くない。なぜなら、現職のドナルド・トランプ大統領(74)に仕えるマイク・ペンス副大統領(61)を含め、大統領選挙において副大統領候補が有権者の投票行動を左右することは稀だからである。
また、バイデン前副大統領が次期大統領に選出されても、国民皆医療保険などのイシューで左派的な立場を表明し、バイデン候補と政見を異にするハリス氏の政策観が、既に打ち出されたバイデン氏の公約を覆すことはない。「バイデン政権」は、あくまでもバイデン氏の意向で動く。
▲写真 米民主党・バイデン大統領候補(前副大統領) 出典:Joe Biden for President: Official Campaign Website
だが、11月の選挙で「バイデン大統領」が誕生したと仮定した場合、政策決定面でハリス氏の影は薄いかも知れないが、潜在的に彼女は非常に重要な人物であり続ける。なぜなら、高齢のバイデン候補は基本的には健康であるものの、数々の身体上の問題を多く抱えており、任期半ばで倒れる可能性が高くないとは言えないからだ。
万が一、バイデン氏が死亡あるいは辞任した、さらに免職されたなど職務遂行不能に陥った場合には、米国憲法第2条第1節の規定により、「ハリス副大統領」が大統領に昇格する。黒人女性初の米大統領が誕生するだけでなく、バイデン氏の政策から離脱した、独自の内政・外交政策を実行に移してゆく可能性がある。
それは、「バイデン大統領」の対日外交や米中・米朝・米韓関係などに関する基本政策の変更につながる可能性もある。そのため日本人は、現状で次期大統領に選ばれる可能性が高いバイデン氏の健康上の懸念と、民主党内の大統領候補選でハリス氏が明らかにした外交方針などを頭に入れておく必要があるのだ。
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