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NY、失業者急増と治安悪化

Japan In-depth / 2020年8月24日 0時26分

ナンシーさんも私とほぼ時を同じくして仕事をなくし、当初は貯金で食いつないでいたものの、ここ2ヶ月は貯金も底をつき、週に数回、食料の配給所に通っているという話をしてくれた。


彼女によれば、配布する団体によってその内容も規模も違い、日によってそれらを渡り歩くのだという。


そのいくつかに行ってみて驚愕した。


比較的近くのラテン・コミュニティーの中心地、と言われる場所では、教会による食料の配布が行われていた。


だが、そこの場所は想像を超えていた。


教会を囲む歩道に延々と並ぶ数百人の人達。


食料配布は昼の12時から始まるという。


多くの人々品切れを恐れて、早朝から炎天下、列をなしていた。その長さ、およそ500メートル。皆、車輪のついた大きな買い物カートを押している。家族連れも多い。並んでいるのはほとんど中南米の人たちであった。



▲写真 ニューヨーク市が配っている無料の朝昼食2人分。ターキーハム・チーズサンド、ハムサンド、ジャムサンド、コーンフレーク、ひよこ豆の煮物、りんごスライス、生にんじんスナック、バナナ、コーヒー牛乳、低脂肪乳 出典:筆者提供


この問題を報じる「Eater」というサイトによれば、6月のニューヨーク州の失業率が15.7%だった時、ニューヨークで接客業に類する仕事に従事する人の失業率は60%であった。コロナ禍以前は20万人が従事していたとされ、その殆どが中南米の人たちだ。


ニューヨークのレストランでは表に出てこない皿洗いや汚れ仕事をする「バスボーイ」と呼ばれる彼ら下働きの人たちの働きなしには機能しない。


彼らは職を失っても、州政府や、連邦政府の失業保険の対象になることはほとんどない。


収入の道がほぼ絶たれ、選択肢がなく、その列に並ぶ。



▲写真 ニューヨーク市が配っている無料食料。左が朝食(コーンフレーク、牛乳、ジュース)右が昼食(りんごスライス、ジャムパン、付け合せ野菜)。内容は毎日変わるが3種類くらいの繰り返し 出典:筆者提供


市内で26000軒ものレストランが存在する(した)が、現在でも店内で飲食が禁じられている状況でとりあえず再開したレストランはおよそ9000軒。1/3ちょっとに過ぎない。ざっと考えても10万人以上の人々が今でも収入がないと考えられる。


食料配布の列に並ぶ人々は他の仕事を探そうにも、立場的に表立った仕事につけない人々がほとんどだ。


公的支援が受けられない彼らに自治体はいまだに手を差し伸べていない。かろうじて給食の配布が公的な援助と言えるが、金銭は受けることができず、住むところも失い、職を探す機会も失われていく。コロナ禍における家主による住人の追い出しを禁ずる行政命令も、正規な入居契約がなければ適用されない。


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