コロナと感染症法の見直し
Japan In-depth / 2020年8月29日 13時13分
▲図 感染症の分類と考え方 出典:厚労省
コロナは未知の感染症だ。多くの国民がインフルエンザと同等には考えていない。致死率は全く違う。8月25日現在、国内で6万4,086人が感染し、1,217人が亡くなっている。致死率は1.9%だ。インフルエンザの致死率は0.01~0.1%と考えられており、比べものにならない。
▲写真 インフルエンザウイルス(イメージ) 出典:Pixnio; C. S. Goldsmith and A. Balish, USCDCP
コロナに感染すれば、軽症で済むとわかっていても、周囲、特に高齢者へ移すことを危惧する。だからこそ、ホテルなどの宿泊施設での療養が必要となる。ところが、宿泊施設の確保が容易でない。8月4日の日経新聞に掲載された「コロナ軽症者の受け皿整わず 自宅療養、2週間で3.8倍」では、「7月31日に独自の緊急事態宣言を出した沖縄県は、同30日に那覇市内のホテルで60室を確保するまで軽症者向け宿泊施設はゼロだった。8月4日時点でも250人以上の療養先が決まっておらず」と紹介されている。
追い込まれた厚労省は自宅療養の基準を緩和した。8月7日の日経新聞には「自宅療養の基準明確化 宿泊施設不足受け 厚労省」との記事が掲載され、「同居家族に高齢者など重症化リスクのある人や医療介護従事者がいる場合も、生活空間を完全に分けられると保健所が判断すれば自宅療養が可能とした」と紹介されている。
ただ、「宿泊施設を十分に確保できている自治体では従来通り宿泊療養を基本」の姿勢は変えないようだ。この記事を普通に読めば、宿泊施設不足を糊塗するため、厚労省が基準を変更したことがわかる。第二波で、この状況だから、冬季にコロナ流行すればどうなるか想像に難くない。
もし、コロナが五類相当となれば、感染症法に基づき都道府県の義務とされてきた入院施設の確保と入院措置、宿泊療養施設の確保から解放される。さらに、入院治療費用は公費でなく、通常の健康保険でまかなわれ、自己負担が生じる。そして、休業補償もなくなる。これでは、誰のための二類相当外しなのだろう。
現在、このような点について厚労省は態度を明らかにしておらず、メディアも問題視していない。
国がやるべきは、コロナを二類相当から外し、宿泊療養施設の確保の責任を放棄することではない。宿泊療養施設の必要性を訴え、関係者の理解と協力を得て、その確保に務めることだ。これが感染者の療養の選択肢を増やし、感染拡大抑制に寄与する。
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