コロナと感染症法の見直し
Japan In-depth / 2020年8月29日 13時13分
「無症状の人」の中にエッセンシャル・ワーカーが含まれることは、彼らも理解しているだろう。それで、この発言をするのだから、悪質と言わざるをえない。
また、彼らの主張は世界のコンセンサスとも食い違う。8月19日、英国政府は全人口を対象に定期的に検査を実施する方針を表明している。また、社会も当然のこととして要求する。米国ニューヨーク州の公立学校教員13万3000人が加盟する「ニューヨーク市教員連盟」は、PCR検査などコロナ対策が整備されないまま、9月に学校が再開されればストライキも辞さないという姿勢を表明している。
流石に、厚労省も自分たちの分が悪いことは認識している。では、どう対応しているのだろうか。それは感染症法の拡大解釈だ。感染者が多発する地域やクラスターが発生した地域では、医療機関や高齢者施設の職員や入所者も公費で検査を受けられるという通知を出した。これは、このような地域で働く医師や看護師を「感染症にかかっていると疑う正当な理由がある者」を拡大解釈したのだ。
さらに8月21日には、接触確認アプリで通知があれば、全員が無料で検査を受けることができると発表した。これも濃厚接触者の拡大解釈だ。
こんなことをしていたら、感染対策が後手に回るし、エッセンシャル・ワーカーの人権を何とも思っていないことになる。感染症にかかっていると疑う正当な理由のある者や濃厚接触者の拡大解釈は厚労省に委ねられる。検査を受けることができるのは、「厚労省の恩寵的な措置」ということになる。これは我が国の公衆衛生が戦前、内務省の衛生警察業務だったことに由来するのだろう。国民の人権よりも国家の都合が優先されている。
エッセンシャル・ワーカーは検査を受ける権利がある。流行地域では、濃厚接触の有無とは無関係に検査を実施できるすべきだ。まずは、臨時国会で、感染症法を改定し、このことを明示すべきだ。国民目線で感染症対策をかえる時期に来ている。
トップ写真:新型コロナウイルス感染症対策本部(第41回)出典:首相官邸HP
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