TOKYO2022の可能性 嗚呼、幻の東京五輪その7
Japan In-depth / 2020年8月31日 18時0分
林信吾(作家・ジャーナリスト)
「林信吾の西方見聞録」
【まとめ】
・東京五輪、「延期または中止すべき」と回答した企業が53.6%。
・「最初の大会から10周年」、1906年にアテネで「第3回」大会。
・「オリンピックに代わる別ものの世界大会」開催の検討価値あり。
各種報道を総合するに、薬学者や病理学者など専門家の間では、新型コロナ禍について、
「ワクチンが完成し、パンデミックが収束に向かうのは、早くて来年の晩秋から冬にかけての時期」
であろうというのが、多数派の認識となっているようだ。
もしもその通りなら、来年夏に延期された東京五輪の開催は、もはや絶望的であると言わざるを得ない。
また、通常5年以上かかるワクチンの開発を、今回は1年ほどで行おうとしているため、その安全性を危惧する声も高まってきているのだが、その議論は、ここではひとまず置く。
お盆休み明けの段階で、全国での新規感染者は連日1000人前後にもなり、感染拡大は「第2次の真っただ中」であるとされている。
東京の場合、都知事選がスタートした頃は、連日40人程度しか新規感染者が出ておらず、小池都知事も、対策が機能した、と自慢げだったものが、大勢が決した途端に、4倍増、5倍増という……
一体どうなってるんだ、と言いたくなるのは私だけではないと思うが、まったくの偶然だという可能性も排除できないし、そもそも、ここであれこれ詮索したところで、なにかが変わるわけではない。
これまで、高齢の感染者はすぐに重症化するということで、警戒を強めていたが、ここへ来て若年層、それも有名なテニスプレイヤーから、吉本のお笑い芸人、AKBメンバーからも感染者が出た。
事態は本当に深刻なのだ。と言うのは、彼らのように「不特定多数の人々と接するのが仕事」とも言うべき立場であれば、感染予防には人一倍気を配っているであろうに、まさしく目に見えない脅威が身近にあるのだと、あらためて思わされた。
こうした状況だけに、これまで幾度か述べてきた通り、国民の間でも東京五輪に関しては「あきらめムード」が日を追って強まってきているが、このほど企業を対象とした意識調査でも、そのことを裏付ける数字が出た。
ANNニュースサイトによると、大手調査会社の東京商工リサーチが、1万社を超える企業を対象にインターネットでアンケート調査を実施したところ、来年の大会は「延期または中止すべき」と回答した企業が53.6%に上ったという。主な理由は、新型コロナの感染拡大が心配されることと、外国人観光客の入国を制限するなどした状況での開催となれば、経済効果もさほど期待できない、ということのようである。
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