アジアで安全保障面の関与を「ポスト安倍 何処へ行く日本」
Japan In-depth / 2020年9月5日 22時15分
こうした日本の経済面でインドネシアに積み上げてきた実績を高く評価する一方で、プルバ記者は「安全保障の面でもより存在感を高めてASEAN地域で役割を果たす時期がきているのではないか」とポスト安倍の指導者に期待を寄せている。
安倍首相が達成できなかった懸案の憲法改正について「中国や韓国は強く非難し、日本の過去の野心の復活を恐れている」と指摘するが「ASEAN10カ国がこうした懸念を共有するかどうかは不明だ」と中国や韓国とは立場が異なるとの見方に言及。
さらに「経済面だけでなく軍事面でもこの地域で台風のような台頭を巻き起こしている中国の現状を見ると、より強い日本が必要になるであろう」と安全保障面での日本の強いプレゼンスが中国とのバランスを保つ上でも必要との主張を展開する。
プルパ記者によるとASEAN加盟国の中には暗黙の理解として東南アジア地域に関心を失いつつある米国に代わる対中国の存在として日本への期待が実はある、というのだ。
インドネシア外交関係者や軍高官との私的会話でもプルバ記者に「日本に自衛力以上の戦力の保持を期待する」との声も出ていると打ち明ける。
■ インドネシア人の対日感情の原点
ただここで誤解が生じないように説明しておきたい、こうしたプルバ記者の主張は彼の広い人脈や強いネットワークからインドネシアでは極めて一般的主張であり考え方であると推察することができる。しかしそれは太平洋戦争で日本がインドネシアを軍事侵攻したことを評価したり、肯定したりするものでは決してないということである。
日本の言論界にはいまだに一部で「インドネシアの独立は日本軍のお陰」「侵略戦争ではなく植民地からの解放戦争」との主張が散見する。こうした見方、主張はインドネシア人の歴史と心を踏みにじる独善でしかない。結果としての独立であってインドネシアという「他人の家に断りも前触れもなく土足でずかずかと踏み込んでいった」のが日本軍であることをインドネシア人は歴史の教科書できちんと学んでいる。
プルバ記者もコラムの中で「第二次世界大戦での日本軍の残虐行為にアジア諸国は傷ついた。戦時中の行為を償うために多大な努力をしてきたドイツに比べて日本は依然として罪悪感を認めることや犠牲者への補償の面で中途半端であると国際社会では認識されている」と指摘していることを肝に命じなければならないだろう。
■ 日本の次期首相への期待
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