朝日新聞「悪魔化」の病状
Japan In-depth / 2020年9月6日 18時1分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視」
【まとめ】
・気に入らぬ相手と無関係の「悪」重ねる朝日「悪魔化」手法。
・コロナと大戦中の米軍の空襲重ね「反米媚中」超える屁理屈。
・国民の「首相評価」よそに、理屈・根拠なき主張を展開。
朝日新聞の安倍晋三叩きも、ここまでひどい症状をみせるにいたったのか。
同紙9月2日朝刊に「危機の宰相 立ち向かえぬなら退陣やむなし」(編集部注:無料会員記事)という見出しのコラム記事が載った。この「危機の宰相」というのは2人を指す。歴史も環境も異なり、たがいになんの関係もない2人の日本国首相である。
だがこのコラムはその2人を同一視して、安倍首相をもう1人の首相の失態や欠陥に重ね合わせて、けなしていた。自分の気に入らない相手をまったくその相手とは無関係な「悪」や「邪」のイメージの他の存在に勝手に結びつけ、その「悪」のレッテルを目前の相手に貼りつける。朝日新聞お得意の「悪魔化」手法である。
朝日新聞がこの悪魔化手法でよく使う材料は少なくとも2種類ある。1種はナチス・ドイツである。2番目は戦前の日本の軍部である。現在の基準ではいずれも「悪」や「負」の認識が定まったこの過去の「悪魔」のレッテルを現在の自分たちの敵、そのほとんどの場合が安倍晋三氏あるいはその支持勢力、にべたりと貼ろうとするのだ。
▲写真 朝日新聞東京本社(東京・中央区)出典:kakidai
今回の記事はその戦前の日本軍部を悪魔として使っていた。同朝刊オピニオン欄の記事、「多事奏論」という名のコラムだった。筆者は編集委員の駒野剛記者だという。
その記事は前段として中国から日本に侵入した新型コロナウイルスは76年前の米軍の日本爆撃に等しいのだと主張していた。その点では駒野記者の悪魔化はその対象にアメリカも入れているのだった。以下のような記述だった。
《新型コロナの情報マップを見ていた。首都圏、関西圏、東海圏などが真っ赤に染まっている。そっくりだと思ったのは、先の大戦、米軍の長距離爆撃機B29による空襲被害を示す日本地図だ。1944(昭和19)年6月末から翌年8月15日まで全国各地の都市が空襲された》
▲写真 東京大空襲後の焼け跡 1945年撮影米軍 出典:flickr : yk.namiki
この記事はその米軍の空襲で日本の国民が無残に殺されたことをアメリカへの憎しみや怒りをこめた筆致で書く。そのうえでその空爆とコロナ感染は同じだという論旨を展開するのだ。
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