新総理は脱安倍路線で「ポスト安倍 何処へ行く日本」
Japan In-depth / 2020年9月7日 9時53分
安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)
【まとめ】
・自民党総裁選レース、菅官房長官頭一つ抜け出す。岸田、石破は2位争い。
・選挙の顔として党内から支持集めた菅氏。合流新党の体制整わぬうちに解散総選挙あり得る。
・新総理は「安倍路線」の継承では無く、新路線を敷くべき。
ポスト安倍は岸田か加藤か、などとつい最近まで言われていたのに、いつの間にか「菅首相」誕生目前だ。総裁選とは名ばかりの消化試合にしらけムードが漂う。
■ 自民党派閥の論理
加藤氏(加藤勝信厚労省)は今回名前すら出なかった。次期総理などと一時メディアに持ち上げられたのに、だ。それにしても気の毒なのは岸田政調会長、はしごの外され方があからさまだ。石破氏も党員票がカウントされないことになった時点で目はなくなった。今は岸田、石破のどちらが二番手になるかが焦点になっている。
▲写真 岸田文雄氏 出典:切干大根
それはともかく、何故菅官房長官だったのか。答えは簡単、解散総選挙が控えているからだ。実際、今年に入ってから、永田町には何度か解散風が吹いている。与野党、多くの衆議院議員が選挙の準備を始めていることを隠そうともしなかった。
自民党としては安倍首相が電撃辞任してしまったので、次の選挙の顔を決めねばならなくなった。その時点で、菅氏に内定したようなものだったろう。
何せ岸田氏は国民に全く知られていない。外相・防衛相を一時兼務していたことすらあるのに、筆者の周りでも彼を知っている人を探す方が難しい。岸田派(宏池会)は自民党最古参の派閥(47名)だが、石破氏の方が知名度がある。何故か?
まず石破氏の外見はインパクトがある。話し方も独特だ。一度テレビで見ると覚えてしまう。ソフトでスマートな語り口の岸田氏とは対極である。何より、鉄オタでアイドルオタクでもある。あだ名は「ゲル」。これも周知の事実だ。が、いかんせん派閥である水月会のメンバー19人と、数の上では圧倒的に不利だ。党員票はかなり集めるのだが、議員票が獲得できず、過去3回の総裁選で苦杯をなめている。
▲写真 石破茂氏(2017年9月25日。山梨市市長選応援演説にて) 出典:さかおり
こうみてくると、次の選挙の顔は菅氏しかいないと自民党の幹部が考えるのも当然だ。安倍首相の下、官房長官として毎日テレビの前に立ち、「令和おじさん」として一定の知名度がある。なにより、「安倍路線の継承」という看板にぴったりということなのだろう。そこに政策論争はない。単純に自民党の派閥の論理があるだけだ。国民不在である。
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