米中の狭間での日本の進路は 「ポスト安倍 何処へ行く日本」
Japan In-depth / 2020年9月9日 11時0分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視」
【まとめ】
・「安倍首相の業績を評価する」と答えた人が全体の7割以上
・菅氏はコロナ対策、アベノミクスに関しては継承。
・菅氏の不安材料は外交と安全保障。
安倍晋三首相が辞任した後の日本はどうなるのか。菅義偉氏の新政権登場が確実視される日本の未来はどうなるのか。
日本の政治史でも最長の任期を記録した安倍政権の功罪はやはり「功」が多かったことは、首相の辞任が決まった後の一連の世論調査でも証されたといえそうだ。少なくとも日本国民の確実な多数派が安倍政権の統治への支持や共鳴を表明したからだ。一例としては9月7日に報じられた読売新聞の世論調査である。
この世論調査では安倍政権への支持率が52%という高水準を記録したのだ。前回の8月の調査結果からは15ポイントもの支持の上昇だった。戦後の歴代政権の支持率とくらべても、この52%というのは細川政権、小泉政権に次いで史上第三位となった。安倍政権には一貫して反対してきた朝日新聞の世論調査でも「安倍首相の業績を評価する」と答えた人が全体の7割以上にも達したのだ。
しかしその安倍首相も病気のために辞任する。その後任は菅義偉官房長官となることが確実だとされる。なにしろ自民党内の主要派閥がほとんど菅擁立で決まってしまったのだ。もちろん政治は一寸先も闇だという。どんな突発事件が起きるかわからない。だから菅新首相の誕生もまだ断言はできない。とはいえ、普通の予測に従えば、その展望は確実である。
だからその普通の展望に沿って話を進める。菅新政権はどんな課題に直面するのだろうか。国内問題でまず明らかなのは新型コロナウイルスとの闘いである。とにかく中国発のこの邪悪なウイルスを抑えこみ、退治することである。日本の経済の回復もそのウイルス対策と一体となっている。
菅新政権はこのウイルス対策では安倍政権が実施してきた多様な措置をそのまま継承することが基本だろう。効果は徐々とはいえ表われている。日本の政府機構全体がすでにそのために動員されている。首相が代わってもその防疫や治療のメカニズムは変わらない。菅氏の一層の努力に期待するところである。
菅氏は経済政策ではアベノミクスの継承を宣言した。前述のように日本の経済活動はこんごコロナ次第という部分が根幹だが、改めてのマクロ経済政策の再検討も必ず必要となるだろう。この点では菅氏自身、安倍首相の有力側近としてアベノミクスの推進役をも果たしてきたのだから、既定の路線は熟知しているはずだ。
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