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「憲法改正ならず」は当然の結果 安倍首相の「心残り」(下)「ポスト安倍 どこへ行く日本」

Japan In-depth / 2020年9月10日 11時20分

この案について安倍首相自身は、


「<自衛隊が違憲かも知れない>などの議論が生まれる余地をなくすべきである、と考えます」


としているが、これについては自民党の内部からも異論が噴出した。具体的には石破茂・元幹事長など、安保・防衛問題に詳しい政治家ほど、自衛隊はれっきとした戦力なのであり、9条2項を残したまま憲法に明記するなどとは、大いなる論理矛盾だ、と指摘した。


さらに度し難いのは、新型コロナ禍に直面するや、今度は、前出の(2)の議論を突如蒸し返して(現行法で対処可能なのに)、私権を制限できる「緊急事態条項」を憲法に書き加えたい、と言い出したことで、これはさすがに、ごく一部のメディアの支持しか得られなかった。


お分かりだろうか。


憲政史上最長の政権でありながら、ついに憲法改正を成し遂げることができず「心残り」となったのは。自業自得なのである。


当人が、憲法学や法理論について、基礎的な勉強すら足りておらず、だからこそ、現行憲法のどこにどのような問題があり、改正することで国民にどのようなよいことがあるのか、きちんと説明することができず、ただただ「改憲論議のための改憲論議」を繰り返した。そこから読み取れるのは、


「憲法を変えた首相として歴史に名を残したい」


という野心だけではなかったか。


シリーズの冒頭で述べたように、次なる政権は、当面新型コロナ禍への対応に追われ、憲法改正論議はひとまず後退せざるを得ないだとう。


私は前々から、日本国憲法は一字一句変えてはならない、という立場ではないと公言してきた。しかし、安倍政権による憲法改正が成らなかったことは、ひとまずよかった、と心底思っている。


トップ写真:安倍内閣 出典:首相官邸Facebook


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