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NYコロナ禍 ある看護師の壮絶体験

Japan In-depth / 2020年9月15日 18時0分

コロナ患者に対応し始めて間もなく「コロナがなくなったら、一緒に飲みに行って写真撮ろうね」


とハグして約束した同僚が3日後に倒れ、その一週間後に亡くなった。


「亡くなったと聞いて、泣きながら仕事をしました。感染防止のゴーグルで、泣いてるのは誰も気がついていないと思うけど。そして私、感染してるかもしれない、死ぬのかな、と」



▲写真 病院の職場仲間とキム看護師。この病院は防護服が足りず、ゴミ袋を着ている看護師の写真が流出、新聞の一面に掲載され、世間に衝撃を与えた。記者会見で吊るし上げられたクオモニューヨーク州知事は翌日、病院に十分な数の防護服を届けさせた。


さらに同居する家族へ感染させるかもしれない、と思い震え上がった。看護師が感染して、一緒に暮らす家族が感染して亡くなる、というケースを知っていたからだ。


次から次へ患者が来て、よくわからないまま、肺炎を起こして重症化していく患者で病棟はあふれた。予期せぬ形で突然危篤状態になり、決め手になる手当の方法もわからないまま亡くなる患者が相次いだ。


もともと勤務する脳外科のICUでは患者の病状の予測が立つので、確実に助からない、と判断された患者には緩和ケアなどの方針が決められるが、新型コロナの重症患者には何もできない。


「(新型コロナの患者は)突然死ぬ。なぜ心臓が止まるのか、何故息ができなくなるのか何もかもわからないままそれが連続して起きます。(ICUにいる)患者は全員重体。いつ、何が起きるかわからないのでPPE(防護具)を外しているヒマなどなかったです。」


患者が亡くなって空いたベッドは即座に消毒され、間髪おかずに次の患者が来る。


入院したころは会話もできていた患者が呼吸ができなくなり、気管挿管されて最後は亡くなる、というケースもたくさん見てきた。



▲写真 人工呼吸器。大人数の重症患者用に積み重ねられている


どの患者も「I can’t breathe(息ができない)」と訴えて挿管されるという。挿管を拒否する患者もいた。挿管されてしまうとその後の救命率は20%程度、とされていたからだ。


感染防止で、患者、家族は危篤状態になっても会えない。


ICUで患者の枕元にタブレット端末が置かれ、家族はそれを通して意識のない患者と最後の「会話」ができるのみだ。


家族だけにしてあげたくて、できるだけその場にはいないように心がけてはいたが、やむを得ない作業で自身が画面に写り込んでしまうことがあると「とても良くしてくれてありがとう」とその場でタブレットを通して感謝されることもあって、泣いた。


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