NYコロナ禍 ある看護師の壮絶体験
Japan In-depth / 2020年9月15日 18時0分
(会いたくとも看病もできず、やっと会えたあなたのお母さんは助からない。)
そう思って泣いた。
▲写真 外部から新たに届けられた医療器具。当時は人工呼吸器の不足が深刻、と報じられていた
「患者さんは一人で亡くなる。でも一人ではない。家族には会えないかもしれないけど手を握って一人では逝かないようにしていました」
コロナ患者に対応することになって、改めて、自分は看護の仕事が好きなんだ、と気付かされたとも言う。
コロナ禍で現場での混乱もあって、もう辞めてしまおう、と思うこともあったが、いざ、患者を目の前にしてしまうと、看護師としてのプロ意識で行動してしまい、本当に看護の仕事が好きなんだ、と改めて感じたという。
「看護師としてよりプロ意識を磨くために、さらにもっと医療の勉強をしなくては。」
話を聞けば聞くほど、キヨコさんには医療者としての「看護師」の仕事に高いプロ意識がある。
「日本で看護師さんのイメージ、ってお医者さんの横についている人、じゃないですか」
アメリカでは看護師は医師と同等の地位がある職業だ。
「記者会見でクオモ知事や他の政府の人も呼ぶ順はまず『ナース』。次に『ドクター』の順です(笑)」
▲写真 ニュージャージー州の小学生たちが書いてくれたメッセージ。心から嬉しかったという。
だがアメリカで高いプロ意識が育まれた背景には、日本で受けた看護教育の影響が大きいという。
「日本の看護教育、看護師さんは素晴らしいです。日本の看護師はすごく教育を受けている人です。看護の勉強、医療、介護のことなどを勉強してチームで一人の患者さんの頭から足の爪先まで、前から、横から、後ろから全部。患者さんの過去、家族構成から何から何まで全部踏まえて看護計画を立てています。入院生活を快適に過ごしてもらいたい。治療に快適なことなどありません。ですが、それを快適に過ごさせてあげたい。それを考えるのが私達の仕事です。それが治療の手助けになっているんです。」
アメリカの大病院の第一線で働くのに、キヨコさんは、自分は英語がそんなに得意ではない、と謙遜する。
「自分は英語が得意ではないです。でもそれが原因でクレームが来たことはありません。それは日本で叩き込まれた看護師のやり方をこちらで惜しみなく出しているからだ思うんです。(日本だったら)ふつうにやっていることを素晴らしいと言われるんです」
▲写真 病院のロビーに飾られた感謝の数々。これらの励ましが、命をかけた現場ではとても慰めになった
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